日本大百科全書(ニッポニカ) 「北房」の意味・わかりやすい解説
北房
ほくぼう
岡山県北西部、上房郡(じょうぼうぐん)にあった旧町名(北房町(ちょう))。現在は真庭市(まにわし)の南西部を占める地域。旧北房町は、1953年(昭和28)呰部(あざえ)町(1924町制)と中津井、上水田(かみみずた)、水田の3村が合併して成立。2005年(平成17)真庭郡の勝山(かつやま)、落合(おちあい)、湯原(ゆばら)、久世(くせ)の4町および美甘(みかも)、川上、八束(やつか)、中和(ちゅうか)の4村と合併して市制施行、真庭市となった。旧町域は、石灰岩台地の上房台が広がり、備中鐘乳穴(びっちゅうかなちあな)、岩屋の穴、上野呂(うえのろ)カルストなどの石灰岩地形に富む。旭(あさひ)川水系の備中川(呰部川)と中津井川が合流し、国道313号が備中川、中津井川沿いを走り、また中国自動車道が通じ北房インターチェンジがあり、北房ジャンクションで岡山自動車道と接続する。中心集落の下呰部は、古くから新見(にいみ)、松山(高梁(たかはし)市)などへの交通の要地、また物資の集散地であった。中津井には一時陣屋が置かれた。備中川、中津井川沿いの広い谷底では米作、野菜栽培が行われる。また和牛飼育、酪農も行われる。
[由比浜省吾]
『『北房町史』2冊(1983、1992・北房町)』