岡山県北部、真庭郡(まにわぐん)にあった旧村名(八束村(そん))。現在は真庭市の北部を占める地域。旧八束村は、1902年(明治35)県(あがた)村と茅部(かやべ)村の一部が合併して成立。2005年(平成17)北房(ほくぼう)、勝山(かつやま)、落合(おちあい)、湯原(ゆばら)、久世(くせ)の5町および美甘(みかも)、川上、中和(ちゅうか)の3村と合併して市制施行、真庭市となった。旭(あさひ)川の上流域にあり、鳥取県境にそびえる蒜山(ひるぜん)の南麓(なんろく)に広がる蒜山原(ばら)の東半を占める。国道313号が犬挟(いぬばさり)トンネルを経て鳥取県に通じ、482号が地域の中央を横断する。蒜山原は第二次世界大戦後開拓され、ダイコン栽培、酪農が行われる。また近年、冬の農閑期を利用したエノキダケ栽培が盛ん。珪藻(けいそう)土採取もある。蒜山は大山隠岐(だいせんおき)国立公園域で、休暇村蒜山高原がある。四ツ塚古墳群は国指定史跡。8月15日ごろ行われる福田神社の大宮踊は国の重要無形民俗文化財。
[由比浜省吾]
『『八束村史』(1982・八束村)』
島根県東部、八束郡にあった旧町名(八束町(ちょう))。現在は松江市の東部にある地域。中海(なかうみ)にある大根(だいこん)島、江島(えしま)からなる。旧八束町は、1970年(昭和45)町制施行。町名は島内八集落を束ねる意。2005年(平成17)松江市に合併。1968年に着工した中海干拓事業(2002年中止)の中浦(なかうら)水門、大海崎(おおみざき)堤の完工で両島とも鳥取県境港(さかいみなと)市、松江市大海崎町と陸続きになった。2004年境港市との間に江島大橋が完成、中浦水門の通行は廃止となった。天保(てんぽう)年間(1830~1844)松江藩営で始まった大根島の薬用ニンジンの栽培と、300年の歴史をもつボタン栽培が主産業。ボタンなど花卉(かき)の苗木や球根を全国に売り歩く行商が女性を中心に行われてきた。
[江村幹雄]
『『八束町誌』(1992・八束町)』
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