合印(読み)あいじるし

精選版 日本国語大辞典 「合印」の意味・読み・例文・類語

あい‐じるし あひ‥【合印】

〘名〙
戦場敵味方区別をはっきりさせるために、笠、袖その他、武装一部につける一定目印
史記抄(1477)六「一軍のあいしるしにそ」
② 区別をするために、物につけておく目印や記号
上井覚兼日記‐天正一四年(1586)一〇月六日「此日、相識共仕立候也」 〔日葡辞書(1603‐04)〕
裁縫で、二枚以上の布を縫い合わせる時、間違いの起こらないように、継ぎ目につけるしるし。躾糸(しつけいと)で縫いつけたものを縫標(ぬいじるし)、へらでつけたものを合篦(あいべら)という。

あい‐いん あひ‥【合印】

〘名〙 別の帳簿や書類と対照したしるしに押す印。合判(あいはん)。あいじるし。〔地方凡例録(1794)七〕

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デジタル大辞泉 「合印」の意味・読み・例文・類語

あい‐じるし〔あひ‐〕【合(い)印】

器物などの組み合わせが紛れないように、それぞれにつけておくそろいのしるし。
他と区別するためのしるし。特に戦場で敵味方の区別をするために、かぶとそでの一部につけた一定の標識
(「合い標」とも書く)裁縫で、2枚以上の布を縫い合わせるとき、合わせ目につけておくしるし。
あいいん(合い印)」に同じ。
[類語]合図信号シグナルサイン手招き目配せウインク片目をつぶる暗号目交ぜ目印標識狼煙のろし烽火号砲警鐘半鐘振鈴

あい‐いん〔あひ‐〕【合(い)印】

別の帳簿や書類と対照したしるしに押す印。合いはん。あいじるし。
[類語]捨て印契印割り印検印消印烙印合い判朱印証印連判調印

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「合印」の意味・わかりやすい解説

合印
あいじるし

戦陣において敵と味方を的確に把握するため、武具などにつけて目印としたものをいう。相標とも書く。夜襲の際、また乱戦などが予想される場合に、味方の同士討ちを避けるため、合いことばとあわせて用いた。白だすきをするとか、白布を刀の柄(つか)に巻くなど、適宜にいろいろなものを使ったが、取り付け箇所によって呼び名も異なる。たとえば、小旗を兜(かぶと)の前とか後ろにつける笠標(かさじるし)、鎧(よろい)の左右の袖(そで)につける袖標、または腰につける腰標などがあるが、笠標がもっとも多く用いられた。ほかに、記帳照合に用いるの字を彫った印もいう。

[稲垣史生]

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世界大百科事典(旧版)内の合印の言及

【笠印】より

…笠標,笠験,笠符,笠璽,笠注とも書く。戦時,敵・味方識別のために,各自がつけた合印,目印。笠(兜の鉢の後ろの鐶(かん)や前立てにつけることが多い)に挿頭した目印であるので,かさじるしと呼ぶとされるが,語源は明確ではない。…

※「合印」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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