召文(読み)メシブミ

デジタル大辞泉 「召文」の意味・読み・例文・類語

めし‐ぶみ【召文】

官庁が人を召し出すために出す書状。呼び出し状。召符めしふ召状
中世幕府訴訟が提起された場合、訴状陳状のやり取りが三度に及んで解決しないときに、訴人論人に発せられる召喚状召符。召状。

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精選版 日本国語大辞典 「召文」の意味・読み・例文・類語

めし‐ぶみ【召文】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 官公署が人を召し出すために出す書状。呼出状。召喚状。召状。召符。
    1. [初出の実例]「此年の二月、三院ともに下向すべきの由、寺社奉行所の召文をつかはせしに」(出典:随筆・折たく柴の記(1716頃)下)
  3. 鎌倉・室町幕府の訴訟制度で、裁判所法廷に訴人(原告)や論人(被告)を出頭させるために発給した召喚状。訴論人は特定の日数内に出頭し、それができない場合、その旨の請文を出した。召状。召符。
    1. [初出の実例]「盛時行政等書召文、被于相摸国以西御家人」(出典吾妻鏡‐建久元年(1190)正月七日)

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改訂新版 世界大百科事典 「召文」の意味・わかりやすい解説

召文 (めしぶみ)

召状(めしじよう),召符(めしふ)ともいう。日本中世の古文書の一様式。一般に上級機関が人を出頭させるために発する召喚状。ただし,物を徴集するための徴符を召文と呼ぶこともあった。すでに平安時代の検非違使庁においても召符が使用されたが,とくに中世幕府法の訴訟制度において,被訴者=論人(ろんにん)の出頭を命ずる召喚状がよく知られている。それは,制度的には三問三答などの文書審理を経て,訴論人の〈対決〉=口頭弁論を行うためのものであったが,現実には,事柄検断沙汰=刑事事件にかかわる場合,あるいは論人が強い嫌疑をかけられていたり陳状提出を忌避したりした場合,などに発給されることが多かった。召文は,出頭の期限が付記してあるかどうかによって,普通の召文と〈日限〉の召文に分けることができる。その様式は普通は御教書(みぎようしよ),奉書(ほうしよ)で,末尾に〈為問答,早可被出対,仍執達如件〉などという書止めを有した。召文と問状(といじよう)とは,この出対=出頭命令文言の有無によって区別される。なお,召文を遣わすことが3度に及んでも論人が出頭して対決しない場合,彼は召文違背の科(とが)に問われ,敗訴となった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「召文」の意味・わかりやすい解説

召文
めしぶみ

召符とも称せられ,鎌倉・室町幕府訴訟法にみえる召喚状。所務沙汰,検断沙汰を通じて用いられ,3問3答の書面審理後に,対決のために当事者に送られる。2度に及ぶ召文を受けて,これを無視し,または遠国5ヵ月,近国2ヵ月の期間出頭しないと,裁判所は一方の訴状により欠席判決ができた。律令制にみえる追攝 (めしわながす) ,判召 (ことわりめし) の手続の影響下に成ったもので,公家法では判召の語が使用されている。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「召文」の解説

召文
めしぶみ

召符(めしふ)・召状とも。中世とくに鎌倉幕府関係の裁判で,訴人(原告)または論人(ろんにん)(被告)に出頭を命ずる文書。御教書(みぎょうしょ)のかたちで出されるのが一般的で,この場合は召文御教書とよんだ。何月何日以前にどこそこに出頭せよといった内容が記される。

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