(読み)キサキ

デジタル大辞泉 「后」の意味・読み・例文・類語

きさき【后/妃】

天皇正妻皇后および中宮。また、皇太后後宮こうきゅう女御にょうご更衣こういなどをいう場合もある。
王侯貴族の妻。
[類語]皇后皇太后妃殿下王妃女王皇太子妃中宮北の方プリンセス

こう【后】[漢字項目]

[音]コウ(漢) ゴ(呉) [訓]きさき
学習漢字]6年
コウ
君主。「后王
きさき。「后妃皇后こうごう三后母后立后皇太后こうたいごう
〈ゴ〉うしろ。のち。「午后ごご
[補説]は「」と通用する。

きさい【后】

きさき(后)」の音変化。
「帝、―の思しおきつるままにもおはしまさば」〈総角

ご【后】[漢字項目]

こう

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「后」の意味・読み・例文・類語

きさき【后・妃・後宮】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 天皇の正妻。皇后。中宮。また、太皇太后、皇太后をもいい、女御、更衣などをさす場合もある。きさい
    1. [初出の実例]「天位即(しろ)しめして良き日を占抉(えら)びて初めて後宮(キサキ)を拝むるに拠て文を為れり」(出典:日本書紀(720)継体元年三月(前田本訓))
    2. 「きさきをはじめ奉りて女御更衣、猶ひとつ院にさぶらひ給ひける」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)雑一・一〇九七・詞書)
  3. 王侯貴族の妻。
    1. [初出の実例]「公主(キサキ)」(出典:天理本金剛般若経集験記平安初期点(850頃))
    2. 「洛西の地三百里を紂王の后(キサキ)に献じて」(出典:太平記(14C後)三〇)

こう【后】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 天子。君主。
    1. [初出の実例]「我后巡方春日晩、廻鑾駐駅次江亭」(出典:凌雲集(814)奉和江亭晩興呈左神栄清藤将軍〈淳和天皇〉)
  3. きさき。皇后。〔礼記‐曲礼下〕

きさい【后・皇后】

  1. 〘 名詞 〙 「きさき(后)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「もし、世の中移りて、みかど・きさいの、思しおきつるままにも、おはしまさば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)総角)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「后」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 6画

[字音] コウ・ゴ
[字訓] きみ・きさき・のち

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
人+口。口は(さい)、祝詞を収める器。字の立意は君と似たところがある。〔説文〕九上に「繼體の君なり」とし、「人の形に象る。令を施して以て四方ぐ。故に之れを厂(た)る。一に從ふ。口もて號を發するは君后なり」と説くが、字は一と厂(かん)とに分かつべきものではない。神話的な古帝王に、夏后・后(こうげい)のように后とよぶものが多い。卜文の后の字はの形に作り、母后の分の形に作る。卜文に后祖乙・后祖丁を祖乙・祖丁に作る。后は後の意。早くからその訓があったのであろう。

[訓義]
1. きみ、おそらく女君。
2. きさき、王の妃。
3. のち。

[古辞書の訓]
名義抄〕后 キミ・ノチ 〔字鏡集〕后 キサス(キ)・ヒメ・ノチ・キミ

[部首]
〔説文〕にをこの部に属する。后はおそらくの簡略形から出たものであろうが、すでに原形との関係をたどりがたい。君と立意の近い字であるから、君と同じく口部に属すべき字である。

[声系]
〔説文〕に后声として詬・・垢など六字を収め、おおむね詬辱の意をもつ。后はもと生子の象で、人の後部の意をもつ字であるからであろう。

[語系]
后・hoは同声。竅・kyも声義が近い。后・、竅・はあたかも相対する関係にある。口kho、孔khong、尻kheu、窟khiut、窖keuなども同系の語であろう。

[熟語]
后王・后・后稷・后職・后族・后帝・后土・后党・后妃・后辟
[下接語]
王后・群后・元后・皇后・高后・三后・主后・先后・太后・天后・母后・明后・立后・霊后

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【女御】より

…女御には位階や定員についての規定もなく,比較的自由な任命が可能であった。淳和朝以降,妃,夫人,嬪などがほとんど置かれなくなり,ときとして皇后すら置かれなかったこともあったから,後宮における女御の地位は徐々に高まった。10世紀に入ると皇后も女御から昇進するようになり,位階も,やがて入内と同時に従三位に叙せられるようになった。…

※「后」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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