周章狼狽(読み)シュウショウロウバイ

デジタル大辞泉 「周章狼狽」の意味・読み・例文・類語

しゅうしょう‐ろうばい〔シウシヤウラウバイ〕【周章××狽】

[名](スル)あわてふためくこと。うろたえ騒ぐこと。「詰問されて周章狼狽する」
[類語]慌てるうろたえるまごつく面食らう狼狽周章騒ぐ慌てふためく右往左往取り乱す度を失う泡を食う一泡吹かせるじたばたあたふた

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精選版 日本国語大辞典 「周章狼狽」の意味・読み・例文・類語

しゅうしょう‐ろうばいシウシャウラウバイ【周章狼狽】

  1. 〘 名詞 〙 ( 同意の語を重ねて意味を強めたもの ) 大いにあわてふためくこと。うろたえ騒ぐこと。
    1. [初出の実例]「迯場(にげば)に迷ふ周章狼狽(シウシャウラウバイ)、已に命も危かりしを」(出典当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉四)

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四字熟語を知る辞典 「周章狼狽」の解説

周章狼狽

あわてふためくこと。うろたえ騒ぐこと。

[活用] ―する。

[使用例] 心の深部からゆり動かされ、自負をふみにじられた周章狼狽は、ちょっとやそっとの対策ではとりかえしがつかなかった[丹羽文雄*蛇と鳩|1952]

[使用例] わたしは不意に電話線のむこうの男を、生れてはじめての現実の一触に周章狼狽しているつまらない未経験な男として感じた、わたしが強者の立場にたっていた[大江健三郎*遅れてきた青年|1962]

[使用例] 携帯電話を握りながら、俺はサッと顔が紅潮するのを感じた。どうして、高村が俺の心のトップ・シークレットを知っているのか――俺は一瞬のうちに周章狼狽パニックの状態に陥った[万城目学*鴨川ホルモー|2006]

[解説] 「周章」も「狼狽」も、慌てて、うろたえることです。日常よく聞くのは「狼狽」のほう。「狼」はオオカミのことですが、「狽」はあまり使わない字です。
 唐代の「ゆうようざっ」によると、前脚が長いろうという獣、後ろ脚が長い狽という獣がおり、狽は狼の上に脚を載せて歩くそうです。狽が狼を失うと動けなくなります。これが「狼狽」の語源だというのですが、こじつけの感じもします。
 実際は、「狼狽」の文字に意味はないのでしょう。慌てる様子を表すオノマトペ擬態語)と考えられます。
 「周章」のほうも、慌てる意味とのつながりが見えません。「周」は歩き回ることであり、慌てて歩き回るのだとも言えますが、「章」は説明できません。
 どうやら、「周章」の文字も、慌てる様子を表すオノマトペのようです。「周」「章」は最初の音が同じで、頭韻を踏んでいます。こういう熟語を「そうせい」と言います。双声漢字は、オノマトペになることが多いのです。

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