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神道美術 しんとうびじゅつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

神道美術
しんとうびじゅつ

日本固有の神祇思想に基づく美術。本来神道は偶像崇拝を行わず,多く崇敬の対象を戸外の自然物に求め,その宗教的行事は素朴な習慣となって民間に伝わることが多かったが,奈良時代の終りには仏教の影響を受け,次第に美術的要素が加わったと思われる。特に平安時代に入って密教の影響で日本の神をインドの仏の仮の姿とする本地垂迹思想が盛んになってからは,仏教にならって絵画や彫刻が盛んに制作されるようになった (→垂迹美術 ) 。その最盛期は遺品や記録から藤原時代,鎌倉時代とみられる。全般に仏教美術の影響が大きいなかで,神社建築は平安時代に仏教伽藍の影響を受けたものの比較的独自の発展を示し,日本の原始住宅との関係も考えられる。その代表的な遺構は岡山,吉備津神社本殿 (1425) ,滋賀,都久夫須麻 (つくふすま) 神社 (1602) など。絵画では礼拝像として神像画,仏教における曼荼羅を模した神道曼荼羅,説話的なものでは神社縁起絵や絵巻類,風俗画的なものでは祭礼図,社頭絵図などがある。遺品は『八幡童子神像』 (栗棘庵) ,『山王宮曼荼羅』 (百済寺) ,『春日権現験記絵巻』 (1309,宮内庁三の丸尚蔵館) ,『熊野参詣曼荼羅絵図』 (闘鶏神社) など。なお仏画との関係や神道絵画独自の性格については考究の余地が多い。彫刻では礼拝像としての神像やこれに付属する狛犬 (こまいぬ) などがある。遺品には『八幡三神像』 (薬師寺鎮守八幡宮) ,『玉依姫』 (吉野水分神社) ,『僧形八幡神像』 (東大寺,快慶作) など。その他工芸美術としては刀剣弓矢,調度品などがある。

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世界大百科事典 第2版の解説

しんとうびじゅつ【神道美術】

日本の神々に対する信仰を軸に造形された宗教美術。神道は本来,自然崇拝を基調としていたため,その礼拝対象も神体山,霊木磐座(いわくら)などの自然物であった。ある特定の自然物を神が宿るひもろぎ(神籬)として礼拝対象としていた。このような神社成立以前の神祇信仰では,古代から中世にかけて祭祀遺跡が各地に知られるが,造形作品として見るべきものは少ない。神社建築が生まれ,社殿神道が成立してはじめて,神道美術が出現するようになる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

神道美術
しんとうびじゅつ

日本固有の民族的信仰である神道に基づいてつくられた宗教美術。原始的な宗教であった神道は、仏教の影響を受けると8世紀ごろからしだいに社殿を設置し、礼拝対象として神像の造立が始まる。そして中世に入ると、本地垂迹(ほんじすいじゃく)説を背景に、神仏習合した法儀の場で使用するために、多くの神道曼荼羅(まんだら)などが制作されてくる。また民衆的な信仰の色彩が濃い神社では、懸仏(かけぼとけ)や御正体(みしょうたい)などを施入することも盛んとなってきた。そうした造形資料群を神道美術とよび、日本の宗教美術における特色をもった一つの類型として考えることができる。[景山春樹]

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