(読み)ハニ

デジタル大辞泉 「埴」の意味・読み・例文・類語

はに【×埴】

きめの細かい黄赤色の粘土。瓦・陶器原料。また、上代には衣にすりつけて模様を表すのにも用いた。赤土粘土ねばつち。へな。はにつち。
[類語]土壌土地大地壌土土砂赤土黒土緑土黄土凍土ローム粘土陶土壁土アンツーカー腐植土腐葉土シルト残土

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精選版 日本国語大辞典 「埴」の意味・読み・例文・類語

はに【埴】

  1. 〘 名詞 〙 きめが細かくてねばりけのある黄赤色の土。古代、これで瓦、陶器を作り、また、衣に摺りつけて模様をあらわし、丹摺(にずり)の衣を作った。埴土(はにつち)。へな。赤土。黄土。ねばつち。粘土(ねんど)。はね。
    1. [初出の実例]「鵜に化(な)りて、海の底に入り、底の波邇(ハニ)〈此の二字は音を以ゐる〉を咋(く)ひ出でて」(出典古事記(712)上)

へな【埴・粘土】

  1. 〘 名詞 〙 ねばりけのある泥土。ねんど。へなつち。はに。
    1. [初出の実例]「『まことに辷って歩きにくいの』『さうよ、へな混りだからつるつるする』」(出典:歌舞伎・敵討噂古市(正直清兵衛)(1857)六幕)

へな‐つち【埴・粘土】

  1. 〘 名詞 〙へな(埴)〔書言字考節用集(1717)〕

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普及版 字通 「埴」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 11画

[字音] ショク・シ
[字訓] はに

[説文解字]

[字形] 形声
声符は直(ちよく)。直に植・殖(しよく)の声がある。〔説文〕十三下に「黏土(ねんど)なり」とあり、陶土として用いる。〔書、禹貢〕に「厥(そ)の土は赤埴」とあり、赤い陶土を産することをいう。〔周礼、考工記〕に「摶埴(たんしよく)の工」があり、明器・祭器の類を作った。埴を〔玄本〕に(しよく)に作る。(織)のように用いて赤の意があり、埴とは「はに」をいう。わが国では埴輪(はにわ)を作った。

[訓義]
1. はに。
2. ひじ(泥土)、土。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕埴 黏土なり、波尓(はに)なり 〔和名抄〕埴 波爾(はに)〔名義抄〕埴 ハニ・ニハ・ホル・ツチ・ウヅム・ツチクレ

[語系]
埴zjik、tjik、thjikは声近く、みな赤い色の意を含んでいる。「はにわ」はその素焼きしたものである。

[熟語]
埴瓦埴固・埴土
[下接語]
埴・瓦埴・赤埴・治埴・摘埴・埴・陶埴・搏埴

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