大興善寺(読み)だいこうぜんじ

精選版 日本国語大辞典 「大興善寺」の意味・読み・例文・類語

だいこうぜん‐じ【大興善寺】

中国、長安にあった寺。隋の文帝が五八二年創建。七五六年以降不空によって灌頂道場が設置され密教の中心道場となり日本の円仁、円珍らも修行。会昌(かいしょう)五年(八四五)の排仏で荒廃

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デジタル大辞泉 「大興善寺」の意味・読み・例文・類語

だいこうぜん‐じ【大興善寺】

中国、文帝が582年に都の長安に建立した寺。隋・唐を通じて長安第一の大寺。756年、不空が灌頂道場を開いてからは密教の中心寺院となり、日本の円仁円珍らも修行した。会昌の法難(845年)以後は荒廃。現在は興善寺として復興された。

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日本歴史地名大系 「大興善寺」の解説

大興善寺
だいこうぜんじ

[現在地名]小倉南区蒲生二丁目

わし峰の東麓にある。曹洞宗鷲峰山と号する。本尊如意輪観音。大興禅寺とも。寛元年間(一二四三―四七)北条時頼の命を受けた佐野常世により建立され、開山叡尊を迎えて奈良西大寺末としたという(「鷲峰山縁起」大興善寺蔵)。全国十八大刹の一つといわれ、本堂に高さ五尺有余の釈迦如来立像があったという。左手に講堂を建て如意輪観音を安置、次いで三重宝塔を建立した。

大興善寺
だいこうぜんじ

[現在地名]基山町大字園部字小松

ちぎり山の麓にある。天台宗山号小松山。本尊は十一面観世音菩薩。

寺伝によれば、養老元年(七一七)聖武天皇の勅願、行基開創である。承和年中(八三四―八四八)堂宇焼失したが、唐から帰朝の途次大宰府に滞在していた慈覚大師円仁がこの寺の炎上を嘆いて再興し、寺号も従来の無量寿院から改めた。戦国時代に三回の兵火に遭って堂塔はことごとく焼失したが、天文一一年(一五四二)勝尾かつのお城主筑紫惟門によって再建され、元和一〇年(一六二四)対馬藩主宗義成によって本堂が改建された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大興善寺」の意味・わかりやすい解説

大興善寺
だいこうぜんじ

中国、陝西(せんせい)省西安市にある寺。興善寺ともいう。隋(ずい)の文帝が582年新都造営にちなみ霊蔵(れいぞう)に勅して寺域を選定させ建立した国寺で、遵善寺(じゅんぜんじ)と称したが、同年6月北周の陟岵(ちょくこ)寺を移建し、大興善寺と改号。寺域は遵(靖)善坊一坊を占めて堂宇広壮を極め、霊蔵が寺主となる。僧猛は当寺で隋国大統の綬(じゅ)を受け、那連提黎耶舎(なれんだいりやしゃ)は訳経道場を主宰した。以来、二十五衆主の第一摩訶衍匠僧粲(まかえんしょうそうさん)や国統霊裕(れいゆう)らが住し、翻経学士の彦琮(げんそう)は『衆経目録』五巻を撰(せん)し、闍那崛多(じゃなくった)は翻経専主となるなど、隋代の教学、僧制、翻経の中心寺院であった。唐代、中宗の代に鄷国(ほうこく)寺と改名、叡宗(えいそう)の代に旧名に復した。玄宗の代に不空三蔵が入寺するや青龍(せいりゅう)寺と並ぶ二大密教寺院となり、日本からも空海、円仁(えんにん)、円珍(えんちん)らが学んだ。しかし、会昌の廃仏(845)以後は徐々に荒廃し、清(しん)朝の同治(どうち)年間(1862~74)イスラム教徒によって烏有(うゆう)に帰した。人民共和国後、大興善公園と称して市民の憩いの場となり、諸堂が再建され、西安(せいあん)仏教協会事務寺となるなど復興したが、公園の広さおよび伽藍(がらん)結構ともども往時と比すべくもない。

[里道徳雄]

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世界の観光地名がわかる事典 「大興善寺」の解説

だいこうぜんじ【大興善寺】

中国の陜西(せんせい)省の古都、西安(せいあん)(シーアン)市南郊外にある、晋の時代に創建されて1700年以上の歴史を持つ寺院である。716~720年、インドの僧侶である善無畏(ぜんむい)や金剛智(こんごうち)、不空らがこの寺で密宗経典を翻訳し、密教を伝授したことから、中国密教の発祥地とされている。寺院の敷地は広く、唐代や宋代に造られた仏像をはじめ、彫刻芸術品、仏教建築の遺跡などが数多く残されている。現在は、重要文化財に指定されている。

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デジタル大辞泉プラス 「大興善寺」の解説

大興善寺

佐賀県三養基郡基山町、契(ちぎり)山の麓に位置する天台宗の寺院。山号は小松山。寺伝では行基による開創、本尊の十一面観世菩薩は行基作とされる。ツツジと紅葉の名所

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世界大百科事典(旧版)内の大興善寺の言及

【基山[町]】より

…米作を中心とし果樹栽培,肥育牛などを行う農業が主産業であったが,近年,南部の工業団地を中心に工業が盛んになり,製造品出荷額も県内有数の地位を占めるようになった。ツツジの名所として知られる大興善寺などの古刹(こさつ)が多い。鹿児島本線,国道3号線などが通り,九州横断自動車道の鳥栖インターチェンジに近く,最近は宅地開発が進んで人口が増加している。…

※「大興善寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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