日本歴史地名大系 「大野寺」の解説
大野寺
おおのじ
大野寺
おおのでら
大野寺
おおのじ
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
奈良県宇陀(うだ)市室生(むろう)区大野にある寺。楊柳山(ようりゅうざん)慈尊院弥勒寺(みろくじ)と称した。新義真言宗室生寺派に所属する。寺伝によると、681年(天武天皇10)に役小角(えんのおづぬ)が開き、824年(天長1)弘法(こうぼう)大師(空海)が開基したと伝える。宇陀川上流に位置するこの寺域は山水清冽(せいれつ)で風光に富み、寺の対岸に屹立(きつりつ)する岩壁には高さ約11.5メートルの弥勒磨崖仏(まがいぶつ)が刻まれている。この磨崖仏は、鎌倉初期、当地が興福寺の荘園(しょうえん)であったとき、僧雅縁(がえん)の発願により造顕されたと伝えられ、国の史跡となっている。寺に安置する身代り焼地蔵菩薩(ぼさつ)は国の重要文化財。シダレザクラの名所としても知られる。
[里道徳雄]
…大鳥郡には中臣氏と同祖伝承をもつ大鳥連(むらじ)・殿来連・蜂田連,土師四腹の一つ毛受(もず)腹の土師連や同祖の石津連,渡来氏族の古志連・蜂田薬師らがおり,和泉郡には伝統的豪族である茅渟県主や和気公のほか,物部氏と同祖伝承をもつ韓国(からくに)連・曾禰連・安幕(あまか)首ら,紀氏と同祖で飛鳥時代に法隆寺式伽藍の禅寂寺を氏寺として建立した坂本臣などがおり,日根郡には渡来氏族系統の日根造,上村主,近義(こぎ)首らの存在が目だっている。行基は大鳥郡内の家原で生まれ,鶴田池などの池の造営や土塔で有名な大野寺の建立などを行っている。738年の《和泉監正税帳》が正倉院文書に遺存しており,当時の地方財政の状況や正倉の実態・配置などを知るうえで貴重である。…
…村域の大部分を山林が占め,主産業は農林業と室生寺を中心とする観光で,農業は米作のほか茶や野菜栽培が行われる。室生寺は〈女人高野〉として著名だが,室生川が宇陀川に合流するところにある大野寺は石仏(史)で有名。屛風ヶ浦とよばれる石英安山岩の岩壁に仏身約11.5m(光背とも約13.8m)の弥勒像を刻んだ磨崖仏で,後鳥羽院の発願により,宋人石匠の手になる。…
※「大野寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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