大韓帝国(読み)ダイカンテイコク(その他表記)Taehan cheguk

デジタル大辞泉 「大韓帝国」の意味・読み・例文・類語

だいかん‐ていこく【大韓帝国】

李氏朝鮮の1897年からの国号冊封体制からの離脱を示すため、それまでの「朝鮮」から改めた。李氏の王は皇帝を称しはじめた。1910年に日本併合された。テハンジェグク。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大韓帝国」の意味・わかりやすい解説

大韓帝国
だいかんていこく
Taehan cheguk

朝鮮,朝鮮王朝 (李朝) の高宗 34 (1897) 年 10月以後,朝鮮王朝を改称した国号。 1910年日本の「併合」によって消滅した。国号変更の動機は,日清和平条約により清朝との宗属関係も消滅したと判断した近臣のすすめによるものといわれる。これまでの王の称号は清に付属した印であるとして,日,清両国のように皇帝の尊称,光武年号制定などをみた。政治・経済機構は変更されず,そのまま朝鮮王朝の状況が続いたが,その独立の意気は衰えず,日本統治下でも,大韓を名のることで抵抗のしるしとし,三・一運動後,組織された臨時政府は「大韓民国臨時政府」と名のった。この帝国は,高宗,純宗と2代 14年間にわたったが,日露戦争を境に親日派政権になり,ますます独立から遠ざかった期間であった。すなわち,04年の日韓議定書調印により対日協力,対露敵対を強いられ,翌年には「保護条約」によって統監府を設置されるなど,内外政治ともに実権を失い,事実上の「併合」下におかれた。ハーグ密使事件で皇帝が譲位すると,やがて日本に「併合」されるにいたった。一方,独立運動も激しく,義兵農民の独立闘争や貴族知識人による愛国啓蒙運動など,広く国民の間に反日独立の声が高まったが,強力な日本軍隊に弾圧された。

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改訂新版 世界大百科事典 「大韓帝国」の意味・わかりやすい解説

大韓帝国 (だいかんていこく)

朝鮮の李朝が1897年に採用した国号。1910年の日韓併合まで続いた。1897年10月,朝鮮が清との宗属関係をすでに解消した自主独立国家であることを示すために国王(高宗)が皇帝に即位し,あわせて国号を大韓,年号を光武と改めた。大韓帝国時代の前半は,99年8月制定の〈大韓国国制〉に示されるように皇帝専制政治が行われ,国政のブルジョア的改革は阻止された。日露戦争後,日本の保護国となり,1910年8月日韓併合により滅亡した。
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百科事典マイペディア 「大韓帝国」の意味・わかりやすい解説

大韓帝国【だいかんていこく】

朝鮮,李朝が1897年に採用した国号。朝鮮が清を宗主国とする関係を解消した自主独立の国家であることを示すため,同年10月国王高宗が皇帝に即位し,年号を光武と改めた。しかし日露戦争後,日本の保護国とされ,1910年日韓併合にいたった。
→関連項目李朝(朝鮮)

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「大韓帝国」の解説

大韓帝国(だいかんていこく)

1897~1910

朝鮮が1897年10月に採用した国号。清国との従属関係を断ち切って,自主独立国家として再出発するために,高宗が皇帝として即位し,国号を大韓に,年号を光武(こうぶ)に改めた。1899年7月に元帥府を設置し,8月に大韓国制を制定した。皇帝に権力を集中したが,列強の勢力角逐のなかで,日露戦争後に日本の保護下に置かれ,1910年に併合された。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「大韓帝国」の解説

大韓帝国
だいかんていこく

李氏朝鮮(朝鮮王朝)が1897年10月から称した国号。日清戦争後,清国との宗属関係を解消し,諸外国と対等な独立国であることを示すため,国王(高宗)を皇帝,国号を大韓と改めた。韓国と略称。日露戦争以後,日本の干渉が激しく,1905年(明治38)11月の第2次日韓協約で外交権を奪われ,実質的に統監の支配下におかれた。10年8月韓国併合により消滅。

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旺文社世界史事典 三訂版 「大韓帝国」の解説

大韓帝国
だいかんていこく

1897年に改称された朝鮮の国号
日清戦争後,1897年に高宗が独立国としての形式を整えるため改称し,自ら皇帝に即位。1910年の日本による韓国併合により消滅。

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