如来寺(読み)によらいじ

日本歴史地名大系 「如来寺」の解説

如来寺
によらいじ

[現在地名]今市市今市

旧今市宿の中央北側裏、東郷とうごう町にある。星顕山と号し、浄土宗。本尊は恵心僧都作という阿弥陀如来坐像。かつては常陸国那珂なか瓜連うりづら(現茨城県那珂郡瓜連町)常福じようふく寺末。寺伝では文明年間(一四六九―八七)の開基創立という。常福寺超誉の門人という開山暁誉については、住職墓地で発見された五輪塔に永正一三年(一五一六)四月一六日の紀年銘があり、死去の日にあてられている。しかし文政三年(一八二〇)の惣記録(如来寺文書)に記録された歴代記でも、暁誉の出所・姓氏などはわからないとする。墓地には天正一三年(一五八五)三月二八日の年紀を刻む、道栄と妙栄の逆修の地蔵供養塔もある。

元和年間(一六一五―二四)の今市宿形成に伴い、当寺門前の集落も今市宿に再編成されたと考えられるが、如来寺そのものが日光から移ったとの伝えもある。寛永九年(一六三二)三代将軍徳川家光は日光参詣の際、父秀忠の喪中のため、当寺に入って逗留、四月一七日の忌日には代参を立て(徳川実紀)水無みずなし村一五石余・おとろざわ村一三石余・土沢どさわ村のうち五斗余の計三〇石を寄進する家光の朱印状(県立図書館蔵)が出された。


如来寺
によらいじ

[現在地名]いわき市平山崎 矢ノ目

夏井なつい川西岸にあり、西方五〇〇メートルに専称せんしよう寺がある。松峯山真戒院と号し、浄土宗。本尊阿弥陀如来。の如来寺として知られる。嘉元二年(一三〇四)鎌倉から下向した真戒尼に帰依した大国魂おおくにたま神社神主山名行阿一族により創建され、元亨二年(一三二二)良山(妙観)の開山と伝えるが、正しくは建武(一三三四―三八)頃である。良山は石川郡の人で、長野善光寺で修行してこの地に戻り、奥州の浄土宗名越派はこの人により広められたという。永正年中(一五〇四―二一)専称寺が浄土宗名越派の中心道場となるまで浄土宗名越派の総本山であった。天正一一年(一五八三)一〇月二八日の岩城常隆証状(如来寺文書)では、門前における棟役そのほかの諸役が免除されている。


如来寺
によらいじ

[現在地名]宇土市岩古曾町 上古閑

曹洞宗で山号三日山、本尊は釈迦如来坐像・阿弥陀如来坐像・薬師如来坐像でともに県指定文化財。「国誌」によれば、文永六年(一二六九)宋から帰った寒巌義尹の開山で、古保里越前守の娘素妙尼(大慈寺記では河尻泰明の娘)の請いにより、如来寺の七堂伽藍を三日さんち村に建立した。曹洞宗大慈だいじ(現熊本市)の末で、当時は寺領七五町を有していたという。


如来寺
によらいじ

[現在地名]金沢市小立野五丁目

竜宝山と号し、浄土宗。本尊阿弥陀如来。天正年間(一五七三―九二)岌台文公が越中増山ますやま(現富山県砺波市)に創建、のち同高岡を経て金沢卯辰うたつ町に移る(貞享二年寺社由緒書上)。元和二年(一六一六)天徳院(加賀藩三代藩主前田利常夫人)によって徳川家康位牌が安置された。万治三年(一六六〇)現在地への移転工事が着手され、寛文二年(一六六二)に完成(「政隣記」加越能文庫)


如来寺
によらいじ

[現在地名]八郷町柿岡

真宗大谷派、帰命山無量寿院と号し、本尊は阿弥陀如来。真宗二十四輩の第四番で開祖は乗然坊領海といわれ、もとは信太しだ木原きはら(現稲敷郡美浦村)にあったが明応七年(一四九八)に当地に移転と伝えられる(新編常陸国誌)。当寺の起源は霞ヶ浦に怪光があり、漁民が困窮していた折に、親鸞が怪光の正体を仏体の光であると見抜き、引揚げたところ阿弥陀如来の木像が現れ、その像を安置したことに始まるとの伝承があり、そのため「霞ヶ浦のご草庵」ともよばれたという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の如来寺の言及

【今市[市]】より

…20年,将軍秀忠が寄進した〈日光山領〉に今市700石とあるのが,史料上の初見である。宿の町並みの北側に文明年間(1469‐87)の開基と伝えられる如来寺があるが,その門前集落などが移ったのではないかと考えられる。将軍はじめ諸大名,公家,庶民の日光参拝,遊覧などでにぎわうとともに,会津方面の山村からは炭や木材などを,駄賃稼ぎ馬(中附駑者(なかつけどちや))で送り出してくるなど,地域の商業の中心地となった。…

※「如来寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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