嫉妬(ロブ・グリエの小説)(読み)しっと(英語表記)La Jalousie

  • ロブ・グリエの小説
  • 嫉妬

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

フランスの作家ロブ・グリエの長編小説。1957年刊。ヌーボー・ロマン(新小説)の代表作とされている。植民地アフリカのバナナ園を舞台に、妻と隣のバナナ園主との情交を疑う夫の視点から、綿密かつ無機的に彼らの言動、周囲の事物、風景が描写され、しかも夫の存在が言及されないため、描写間の脈絡のなさが読者をとまどわせる。しかし、屋内の事物の相次ぐ描写がそのまま、歩行する彼の視覚に映じたものだとわかるときから、読者は一挙に彼の内面に転がり込み、彼とともに妻の行動を探り、不審な場面を回想し、外泊した2人の密通を想像して、嫉妬の炎に身を焼かれることになる。このうえもなく客観的な描写が、狂的な情念の嵐(あらし)の形に構造化されている異色作。

[平岡篤頼]

『白井浩司訳『嫉妬』(1959・新潮社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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