焼く(読み)ヤク

デジタル大辞泉 「焼く」の意味・読み・例文・類語

や・く【焼く】

[動カ五(四)]
火をつけて燃やす。また、燃やしてなくす。焼失する。「枯れ草を―・く」「失火で家を―・く」
火に当てて熱を通し、食べられるようにする。「魚を―・く」
火で熱して製品などをつくる。「瓦を―・く」「炭を―・く」「クッキーを―・く」
日光などに当てて変色させる。「肌を小麦色に―・く」
写真の原板から陽画をつくる。「サービス判で―・く」

患部に薬品を塗ったり、放射線を当てたりする。「扁桃腺へんとうせんを―・く」
㋑薬品で皮膚の組織などを損なう。「酸で手のひらを―・く」
㋒やけどをさせる。「スープで舌を―・く」
悩んで苦しい思いをする。「恋に身を―・く」
あれこれ気を使う。扱いなどで悩む。「世話を―・く」「手を―・く」
(「妬く」とも書く)嫉妬しっとする。「上の娘と仲良くすると下の娘が―・く」
10 CDDVDブルーレイディスクなどに、音声・文書・画像などのデータを記録する。書き込む。
11 (江戸前期、上方の遊里で)うれしがらせを言う。おだてる。
「この道に身をなし、人をよく―・くとて」〈浮・一代女・五〉
[可能]やける
[動カ下二]やける」の文語形
[下接句]きもを焼く・くんこうもっみずから焼く世話を焼く手を焼く鍋尻なべじりを焼く一口物ひとくちものほおを焼く焼きもち焼くとて手を焼くな
[類語](1燃やす焚き付けるくべる/(2あぶる/(9嫉妬羨ましいねたましい焼き餅ジェラシー悋気おか焼き法界悋気妬心羨む羨望ねたむそねむやっかむ焼ける

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「焼く」の意味・読み・例文・類語

や・く【焼】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 カ行五(四) 〙
    1. [ 一 ] 火・光・薬品などによって、物の状態を変える。
      1. 火をつけて燃やす。燃焼させる。たく。
        1. [初出の実例]「枯野を 塩に夜岐(ヤキ) 其が余り 琴に作り」(出典古事記(712)下・歌謡)
      2. 燃やして形をなくす。燃やして灰にする。焼失する。
        1. [初出の実例]「新羅人、百済の南の畔の四の州を焼燔(ヤク)」(出典:日本書紀(720)天智二年二月(北野本訓))
      3. 火にあてたり、くべたりして、つくりあげる。加熱して、食べたり、使用したりできるようにする。
        1. [初出の実例]「岩の上に小猿米野倶(ヤク)米だにも食げて通らせ山羊老翁」(出典:日本書紀(720)皇極二年一〇月・歌謡)
      4. 灸をすえる。
        1. [初出の実例]「遂に便ち灸三十余処を炯(ヤケ)り」(出典:天理本金剛般若経集験記平安初期点(850頃))
      5. 日光にあてて、変色させる。日光に曝して皮膚を黒くする。
        1. [初出の実例]「私は泳ぎ疲れて、〈略〉腹這いになり、背中を焼いた」(出典:夏の流れ(1966)〈丸山健二〉五)
      6. 写真で原版に光をあてて陽画をつくる。
        1. [初出の実例]「顔の先一間四方がぼうとして何だか焼(ヤ)き損なった写真の様に曇ってゐる」(出典:坑夫(1908)〈夏目漱石〉)
      7. 薬品で物などをこがす。
        1. [初出の実例]「自ら硝石精を以て額上を焼き、其面貌を変じて」(出典:文明東漸史(1884)〈藤田茂吉〉内篇)
      8. 強い、火のついたような刺激を与える。
        1. [初出の実例]「粗悪なブランデーの刺戟が彼の喉をやいた」(出典:夜と霧の隅で(1960)〈北杜夫〉八)
    2. [ 二 ] 心の働かせかたを比喩的にいう。
      1. 心を悩ます。胸をこがす。
        1. [初出の実例]「冬ごもり春の大野を焼く人は焼きたらねかも吾が情熾(やく)」(出典:万葉集(8C後)七・一三三六)
      2. 種々に気を配る。あれこれめんどうをみる。
        1. [初出の実例]「おのれが世話をやかするに依て落まい馬にまで落る」(出典:虎寛本狂言・止動方角(室町末‐近世初))
      3. ( 「妬」とも書く ) 嫉妬する。悋気する。
        1. [初出の実例]「だみたる恋を柴や町、やかるるたねと知ながら、猶もえくゐの燃やすき」(出典:浮世草子・新竹斎(1687)四)
      4. うれしがらせを言う。おだてる。江戸前期、上方の遊里で用いた語。
        1. [初出の実例]「うちつけより人をやくこと上手也」(出典:評判記・剥野老(1662)山中山三郎)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 カ行下二段活用 〙やける(焼)

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IT用語がわかる辞典 「焼く」の解説

やく【焼く】

CDDVDなどの光ディスクにデータを記録する。

出典 講談社IT用語がわかる辞典について 情報

パソコンで困ったときに開く本 「焼く」の解説

焼く

CDやDVDにデータを書き込むことを指す俗語です。これらのディスクは、情報を書き込んだ後、レーザー光線の熱で温かくなります。そのため、「焼く」というようになりました。

出典 (株)朝日新聞出版発行「パソコンで困ったときに開く本パソコンで困ったときに開く本について 情報

ASCII.jpデジタル用語辞典 「焼く」の解説

焼く

CD-R/RWDVD-R/RWなどにデータを書き込むことをいう。レーザー光で熱して、記録層の性質を変化させていることからこのように呼ばれる。

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