日本大百科全書(ニッポニカ) 「宇目」の意味・わかりやすい解説
宇目
うめ
大分県南端、南海部(みなみあまべ)郡にあった旧町名(宇目町(まち))。現在は佐伯市(さいきし)の南西部にあたる地域。小野市(おのいち)、重岡(しげおか)両村は旧竹田(たけた)藩領で、大野郡に属したが、1950年(昭和25)南海部郡に編入、1955年合併して宇目村となり、1961年町制施行。2005年(平成17)佐伯市に合併。旧町名は中世の宇目郷による。『延喜式(えんぎしき)』小野駅の地と考えられ、JR日豊(にっぽう)本線、国道10号、326号が通じる。九州山地の一部で、杉、シイタケが主産物。北川ダムを中心とする北川総合開発事業が県営で1962年に完成。花崗(かこう)岩の藤河内渓谷(ふじがわちけいこく)は祖母傾国定公園(そぼかたむきこくていこうえん)に含まれる景勝地である。木浦鉱山(きうらこうざん)は鉛、錫(すず)、マンガンを産出したが、1957年閉山、現在エメリー(研磨材に使用する鉱石)を産する。「宇目の唄(うた)げんか」は子守歌で有名。
[兼子俊一]