宮沢喜一内閣(読み)みやざわきいちないかく

百科事典マイペディア 「宮沢喜一内閣」の意味・わかりやすい解説

宮沢喜一内閣【みやざわきいちないかく】

1991年11月5日〜1993年8月9日。自由民主党単独内閣。海部俊樹退陣をうけて宮沢喜一自民党総裁に選ばれ,総理大臣に就任(副総理兼外相に渡辺美智雄)。当面する政治課題は〈国際貢献〉と〈政治改革〉で,就任時のキャッチフレーズは〈世界平和秩序への貢献〉。1992年1月ブッシュ米大統領が来日,宮沢首相と会談し,新時代における日米相互の責任を明示した〈東京宣言〉を発表。6月PKO協力法,国際緊急援助派遣法が成立し(8月10日施行),9月PKOによる自衛隊カンボジア派遣開始。12月自民党竹下派が分裂,羽田派が発足。1993年4月渡辺副総理兼外相が健康上の理由で辞任後任の副総理に後藤田正晴法相が就任。同月〈政治改革法案〉をめぐる論戦が開始されたが,与野党を問わず〈改革〉反対派が多く,6月野党が提出した内閣不信任案が賛成多数で可決され(羽田派が不信任案同調),宮沢首相は衆議院を解散。これを契機に自民党離党グループによって〈新党さきがけ〉〈新生党〉が結成された。7月の総選挙結果は,自民党は横ばい(ただし選挙前の離党者が多数であったため過半数割れ),日本社会党惨敗,これに対し新党(新生党,日本新党,新党さきがけ)が躍進して〈55年体制〉は崩壊宮沢内閣総辞職
→関連項目小泉純一郎

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「宮沢喜一内閣」の意味・わかりやすい解説

宮沢喜一内閣
みやざわきいちないかく

(1991.11.5~1993.8.9 平成3~5)
自由民主党(自民党)の総裁選で渡辺美智雄(1923―1995)、三塚博(みつづかひろし)(1927―2004)を破って、宮沢喜一が首班となって、1991年(平成3)11月に発足した内閣。海部(かいふ)俊樹政権から引き継いだPKO協力法案を、1992年6月ようやく成立させ、9月から自衛隊員などを順次カンボジアに派遣した。懸案の衆議院定数是正「9増10減」も同年12月に成立。しかし、1992年1月には共和事件で、阿部文男(1922―2006)元北海道沖縄開発庁長官が逮捕され、8月には金丸信(かねまるしん)(1914―1996)元副総裁の東京佐川急便不正献金問題が明るみに出るなど、終始スキャンダルに悩まされた。バブル後の不況からも脱することができず、「顔が見えない」などとその指導力不足が終始指摘された。

 1992年12月の臨時国会終了後に内閣を改造。選挙制度を含む抜本的な政治改革の実現を内閣の最大の課題に掲げた。しかし、自民党の強い反対論にあって党議決定した単純小選挙区制より妥協した案をまとめることができなかった。1993年6月18日の衆議院本会議で野党提出の内閣不信任決議案に自民党内の羽田(はた)派などが賛成して可決され、衆院を解散したが、羽田派の離党などがあって、衆院選挙で過半数を確保できず退陣した。

[橋本五郎]

『弘中喜通著『宮沢政権・六四四日』(1998・行研)』

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「宮沢喜一内閣」の解説

宮沢喜一内閣
みやざわきいちないかく

自民党の宮沢喜一を首班とする内閣(1991.11.5~93.8.9)。1991年(平成3)海部内閣のあとをうけて成立。自民党総裁選で2位の渡辺美智雄を副総理・外相,竹下派の羽田孜(つとむ)を蔵相にすえ実務型内閣といわれた。政治改革・国際貢献・生活大国を目標にすえ,国連PKO協力法,コメ市場開放などの懸案に対処。PKO法案は92年6月に可決,9月自衛隊をカンボジアに派遣した。しかし国内では佐川急便事件で政治不信が高まり,政治改革とからんで,93年6月社会・公明・民社3党の不信任案が可決され,衆議院解散を決定。自民党は,離党した武村正義が新党さきがけ,羽田孜が新生党を結成して分裂。7月18日の総選挙で自民党は過半数を大きく割りこみ同内閣は退陣,翌月日本新党の細川連立内閣にかわった。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

旺文社日本史事典 三訂版 「宮沢喜一内閣」の解説

宮沢喜一内閣
みやざわきいちないかく

宮沢喜一(1919〜2007)を首班とする自由民主党単独内閣(1991.11〜93.8)
1992年,海部俊樹内閣政権から引き継いだPKO協力法案を成立させ,自衛隊をカンボジアに派遣した。しかし,佐川急便事件で政治不信が高まり,バブル経済崩壊後の不況からも脱することができない中,衆議院総選挙で過半数割れし,宮沢内閣は'93年7月総辞職したため,55年体制は崩壊した。そして翌月細川護煕連立内閣が成立した。

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