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寺院版 じいんばん

世界大百科事典 第2版の解説

じいんばん【寺院版】

寺院において僧の手により,非営利的に開版(板)された書物の総称。日本では平安時代,写経供養に代わってはじめて摺経(すりきよう)供養(経典を印刷することで供養を行う)が行われたが,いずれも死者の冥福(めいふく)を祈り,罪業障滅をねがうためのものが多かった。 奈良興福寺を中心とした春日(かすが)版,鎌倉初期以来高野山において開版された高野版,醍醐(だいご)寺で開版された醍醐寺版,比叡山で開版された叡山版,京都の知恩院を中心とした浄土教版,奈良の諸大寺(東大寺西大寺ほか)による奈良版,さらに鎌倉時代から南北朝(14世紀)を経て,室町時代末期(16世紀)にいたる,京都の五山を中心として開版された五山版など,とくに寺院版として著名である。

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図書館情報学用語辞典の解説

寺院版

仏教寺院の出版物.日本で民間の出版事業が成立するのは江戸時代の17世紀半ば頃からであるが,それまでは寺院が出版事業の中心であった.特に平安末期から鎌倉時代以降は,天宗台,真言宗,奈良諸宗,さらに浄土宗,禅宗関係の仏教諸派の出版物は,様式上もそれぞれ特色のある発達を示した.それらは,それぞれ寺院別に,あるいは宗派別にまとめてその名を冠して呼ぶが,これら仏教寺院の出版物を総称して寺院版という.

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世界大百科事典内の寺院版の言及

【本】より

…僧侶は研学のため経文を必須としており,興福寺では財を募り《成唯識論(じようゆいしきろん)》10巻を1088年(寛治2)に印刷したが,これは良紙,能書,濃墨で優秀である。この〈春日(かすが)版〉が始まると,西大寺,東大寺,唐招提寺,法隆寺などでも出版され,研学用から俗人に読誦させるようになったが,これらは寺院版と総称される。鎌倉時代中ごろ高野山に,後期には京都や鎌倉にも及んだ。…

※「寺院版」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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