(読み)コウ

デジタル大辞泉 「工」の意味・読み・例文・類語

こう【工】[漢字項目]

[音]コウ(漢) (呉) [訓]たくみ
学習漢字]2年
〈コウ〉
物を作り出す仕事。巧みなわざ。「工員工学工業工芸工作工事工場工程加工施工しこう・せこう人工着工
物を作る人。職人。「工匠画工女工職工名工
「工学」「工業」の略。「工科商工理工
〈ク〉
巧みなわざ。「工夫くふう工面細工
職人。「石工いしく大工
[名のり]ただ・つとむ・のり
[難読]工合ぐあい木工もく

こう【工】

道具を使って物を作ること。また、それを業とする人。「仕上げ

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精選版 日本国語大辞典 「工」の意味・読み・例文・類語

こう【工】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 道具を使って物を造り出すこと。また、それを業とする者。細工をする人。工匠。職人。職工。たくみ。〔文明本節用集(室町中)〕
    1. [初出の実例]「農工商といふ者は三鼎の様なもので」(出典:交易問答(1869)〈加藤弘之〉下)
    2. [その他の文献]〔論語‐衛霊公〕
  3. いろいろと工夫すること。
    1. [初出の実例]「字眼とは一字の工(コウ)の為に一句を穎異(えいい)ならしめるものである」(出典:芭蕉雑記(1923‐24)〈芥川龍之介〉一一)
  4. 雅楽の管楽器篳篥(ひちりき)の上から八番目の穴の名。音は盤渉(ばんしき)(ロ音)。

く【工】

  1. 〘 名詞 〙
  2. (しょう)の吹き口の真上にある最長の管の名。その音は乙の上無(かみむ)。左手の拇指でおさえる。
  3. 笙の奏法の一つ。工・凡(ぼ)・乙(お)・美(び)・行(ぎょう)・七(しち)の六管を同時に鳴らすもので、不協和音である。合竹(あいたけ)
  4. 雅楽の琵琶の甲所(かんどころ)の名。第一弦の第一の柱の名、およびそれをおさえた音。左手の食指でおさえる。

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普及版 字通 「工」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 3画

[字音] コウ・ク
[字訓] たくみ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
工具の形。〔説文〕五上に「巧なり」とし、「人の規(きく)るに象るなり。巫と同なり」とする。巫のもつところは、左・(尋)・隱(隠)の字形に含まれる工と同じく、神事に用いる呪具。工具の工は、金文鍛冶の台の形にみえるものがあり、巫祝の用いるものとは異なるものであろう。金文の〔明公(めいこうき)〕に「魯侯に工(えうこう)(あ)り」とは、祝の功あるをいい、また〔詩、小雅、楚茨〕「工(いの)ることを致す」、〔詩、周頌、臣工〕「嗟嗟(ああ)臣工 爾(なんぢ)の(宮)に在るを(つつし)め」とある工祝は巫祝、臣工は神事につかえるものであった。〔書、酒誥〕に「宗工」「百宗工」の名があり、これも神事を主とするものであろうが、のち百工・百官の意となった。西周後期の〔伊(いき)〕に「康宮の王の臣妾・百工を官(司)せよ」とあるのは、宮に隷属する職能的品部をさすものであろう。

[訓義]
1. 巫祝、楽人、神につかえる者。
2. たくみ、工作者、作る。
3. つかさ、役人
4. てがら、業績、功と通用する。

[古辞書の訓]
和名抄〕工 太久美(たくみ)〔名義抄〕工 タクミ・ツカサ 〔字鏡集〕工 タクミ・タクミツカサ

[部首]
〔説文〕に式・巧・(巨)をこの部に属し、前部には左、後部には(てん)・巫を連ねる。定規で工作の器。工の中間に把握のところを加えた形。巫祝の用いる工にはそのような把手を加えることがなく、巫祝の工と工作の工とは、もと別事異物である。ただその形が似ているので、のち通用するに至ったのであろう。

[声系]
〔説文〕に工声として(きよう)・攻・(空)・江・紅・功など二十字を収める。・攻・功は工具の意をとるが、・江は虹のようにゆるく彎曲する形をとるもので、虹の象形。巫祝・工具の工とは、また別系である。

[語系]
工・功・攻kongは同声。虹hong、khongは中空で彎曲する形のもの。金文の工にも、下の画を彎曲した形に作るものがある。

[熟語]
工夫・工役・工価・工歌・工学・工気工綺・工技・工芸工賈工瞽・工巧・工細・工作工肆・工師・工詩・工事・工祝工竣・工女・工匠・工商・工賑工人・工成工拙・工絶・工銭・工緻・工遅・工程・工丁・工頭・工費・工筆・工部・工蜂・工力・工麗
[下接語]
衣工・医工・化工・加工・歌工・画工・楽工・完工・勧工・起工・鬼工・伎工・技工・玉工・金工・献工・細工・施工・紙工・梓工・漆工・手工・舟工・衆工・竣工・書工・諸工・女工・商工・職工・臣工・神工・鍼工・人工・石工・大工・鍛工・着工・彫工・天工・典工・土工・刀工・陶工・同工・農工・罷工・百工・仏工・妙工・名工・木工・冶工・傭工・良工・伶工

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【士農工商】より

…元来は中国の古典に起源する言葉であるが,近世の国制を中国古代の封建制になぞらえて理解しようとした儒学者などによって使用されたのをきっかけに,江戸時代の国家,社会に関する支配イデオロギー上の重要なキーワードとして広く一般に使用されるようになった。中国の古典では,士農工商の四民は国の石民,すなわち国の本で柱の礎石のごとくであり(《管子》),また学をもって位に就いている者を士といい,土地を耕して穀物を作るのを農といい,技巧をふるって器物を作るのを工といい,財貨を流通させる者を商という(《漢書》)とされている。日本では《神皇正統記》が《漢書》と同じ意味で四民という言葉を使っているが,士を官に仕えるものとするなど,兵農分離以前のこの段階では中国の概念の直訳にとどまっている。…

※「工」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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