巫山戯る(読み)フザケル

デジタル大辞泉 「巫山戯る」の意味・読み・例文・類語

ふざ・ける

[動カ下一][文]ふざ・く[カ下二]
おどけたり冗談を言ったりする。「―・けて怒ったふりをする」
子供などがたわむれて騒ぐ。「子犬が―・けて跳ね回る」
男女がたわむれる。いちゃつく。「人前もはばからず―・ける」
ばかにする。「―・けたことを言うな」
[補説]「巫山戯る」とも当てて書く。
[類語](1じゃれる戯れるはしゃぐたわけるじゃらす/(4からかう冷やかす茶化すおひゃらかすおちゃらかす混ぜ返すおちょくるなぶるもてあそぶ玩具おもちゃにする野次る野次を飛ばす洒落しゃれのめす半畳を入れる茶茶を入れる揶揄やゆ玩弄

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「巫山戯る」の意味・読み・例文・類語

ふざ・ける【巫山戯】

  1. 〘 自動詞 カ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]ふざ・く 〘 自動詞 カ行下二段活用 〙 ( 「巫山戯」は当て字 )
  2. たわむれる。たわける。
    1. (イ) 遊里などで、浮かれて騒ぐ。遊び騒ぐ。
      1. [初出の実例]「おっと今宵は身共が立てぢゃ、松坂屋で戯(フザ)けめされ」(出典歌舞伎・五大力恋緘(1793)三)
    2. (ロ) 冗談を言ったりおどけたりする。たわけた言動をする。
      1. [初出の実例]「おもいれにふざけて床へまわれば、女郎も打ちとけ顔なり」(出典:咄本・聞上手(1773)岡場所)
    3. (ハ) 子どもなどが、たわむれて遊ぶ。
      1. [初出の実例]「てえげえにふざけたら、稽古にかからっし」(出典:滑稽本・八笑人(1820‐49)四)
    4. (ニ) 男女が、たわむれる。いちゃつく。
      1. [初出の実例]「私共を家へ送込んでから、仕様が無いんですものヲ、巫山戯(フザケ)て巫山戯て」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二)
  3. ( 「ふざけた」「ふざけている」の形で ) 人をばかにする。人をなめた言動をする。
    1. [初出の実例]「人のうちへ挨拶もなく這入ッて来て、イケふざけた大あぐら」(出典:人情本・春秋二季種(1844‐61頃)初)

巫山戯るの補助注記

「巫山戯」の当て字はこの語の使用されることの多かった遊里からの連想で、中国の「巫山の雲雨」の故事と「たはる(戯)」の表記が合わさって成立したものと思われる。

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