御柱祭(読み)オンバシラマツリ

デジタル大辞泉 「御柱祭」の意味・読み・例文・類語

おんばしら‐まつり【御柱祭】

諏訪大社の祭礼。さる年ととら年の春、依り代となる御柱を山中からき出し、上社本宮・前宮と下社の春宮・秋宮それぞれの四隅に建てる。おんばしら。みはしらさい。

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精選版 日本国語大辞典 「御柱祭」の意味・読み・例文・類語

おんばしら‐まつり【御柱祭】

  1. 〘 名詞 〙 長野県諏訪大社の大祭。申年と寅年(七年目毎)の春に行なう。依代(よりしろ)の柱を社殿の四隅に立てる神事。あらかじめ選んでおいた樅(もみ)大木を、氏子たちが木遣唄に合わせて曳き出し、御柱の先端三角錐に削って立てる。県内外の摂末社にも、やや小規模な御柱祭を行なうところが多い。《 季語・夏 》

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「御柱祭」の意味・わかりやすい解説

御柱祭
おんばしらまつり

長野県諏訪大社(上社・下社)で寅年と申年にのみ行なわれる祭り。みはしらさいともいい,正式には式年造営御柱大祭という。御柱と呼ばれるモミ巨木を上社(本宮・前宮)と下社(春宮・秋宮)の社殿を囲むように建てるとともに,上社本宮と下社春宮・秋宮の宝殿を建て替えて神霊を移す。各社とも御柱は 1の柱から 4の柱まで 4本あり,1の柱は 5丈5尺(約 17m)で,2の柱以降は 5尺落ちで短くなる。各御柱の曳行担当地区は,上社は抽選で決まり,下社は前例によって決まっている。上社は八ヶ岳の支峰の御小屋山にある神社林,下社は東俣国有林から御柱を切り出し,木遣歌とともに神社まで曳行して建てる。祭りはおもに 4月の山出し祭と 5月の里曳き祭からなる。山出し祭では,急な崖を滑り落ちる「木落し」や上社の御柱が宮川を渡る「川越し」などの見せ場があり,里曳き祭では御騎馬行列などが行なわれ,最後の「建て御柱」で社殿の四隅に柱を建てる。宝殿の造営は,2棟並立している建物の一方を建て替えるもので,新たに建てられた宝殿に神霊を移す遷座祭が,下社では里曳き祭の前夜,上社では御柱の行事がすべて終わったあとの 6月15日に行なわれる。諏訪大社のほかにも,諏訪地方では小宮(こみや)と呼ばれる各集落の氏神祝神などと呼ばれる同族の神,各家の屋敷神や事業所などでまつられている祠(ほこら)などでも同年に御柱祭が行なわれる。また,長野県内の諏訪神社を中心とする各地の神社でも同年または翌年に行なわれ,群馬県山梨県鳥取県などでも御柱祭を行なっている諏訪神社がある。(→諏訪信仰

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改訂新版 世界大百科事典 「御柱祭」の意味・わかりやすい解説

御柱祭 (おんばしらまつり)

長野県の諏訪大社において7年目ごと(申と寅年)の春に行われる式年大祭。地元では単に〈おんばしら〉といい,また〈みはしらさい〉とも呼ぶ。諏訪大社は上社の前宮と本宮,下社の春宮と秋宮のあわせて4宮からなり,それぞれの社殿四隅に山中から氏子が引き出してきた巨大な自然木(モミ)を合計16本立てる。その起源は坂上田村麻呂蝦夷征伐の途中,同社に祈願し,その報賽(ほうさい)のため造営したのに始まると伝えるが,この祭儀はさらに古いと考えられ,その意義についても古来から諸説ある。神霊降臨の依代(よりしろ)説,四至の聖地標示説,社殿造営代用説などが有力である。御柱の伐採にはその年の1月に厳重な儀式が行われ,山出し,曳き出し,里曳き,冠落しには諏訪地方の全氏子が動員され,木遣りの競演などもあってにぎわう。長野県内のこのほかの神社でも御柱祭を執り行うところが多い。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「御柱祭」の意味・わかりやすい解説

御柱祭
おんばしらさい

長野県下で式年に行われる御柱の曳行(えいこう)と建立を中心とした祭事。諏訪(すわ)大社のそれがとくに有名。同社の上社(本宮、前宮)と下社(春宮、秋宮)にてなされる御柱祭は、7年目ごとの寅(とら)・申(さる)の歳(とし)を式年とし、神殿の造替、遷宮を伴う。上社と下社には差異があり、上社の次第は、祭事の前年5月に八ヶ岳中腹の御小屋岳(おこやだけ)で御柱木の下見と選定を行う。当年になって奉曳(ほうえい)する村の抽選式、引き綱をなう綱打ち、御柱の伐採、4月初め御柱屋敷まで引き出す「山出し」、1か月余の「御柱休め」、そして5月初旬社殿までの「里曳(び)き」に続き神殿四隅への「曳(ひ)き建て」で終わる。里曳きでは長持(ながもち)行列、騎馬行列があり、郡内各村の奉仕でにぎわう。柱は各4本建て先端を三角錐(かくすい)に削るが、長さはおのおの異なる。御柱の意味については、神の依(より)ます所、あるいは聖域を示す象徴などと説明される。諏訪地方では各村落で行うものを「小宮の御柱」といい、神社だけでなく個人の屋敷神や村境に建てる場合もある。

[櫻井治男]

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百科事典マイペディア 「御柱祭」の意味・わかりやすい解説

御柱祭【おんばしらまつり】

長野県諏訪(すわ)大社で上・下社を通じて,申(さる)と寅(とら)の年(7年目)の春に行われる祭。八ヶ岳山中からモミの巨木を切り出し,上社では本宮,前宮に各4本,下社では春宮,秋宮に各4本計16本の柱を立てる。この巨木を数千人の氏子が木遣(きやり)歌に合わせて引きおろす。

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事典 日本の地域遺産 「御柱祭」の解説

御柱祭

(長野県諏訪郡下諏訪町;長野県茅野市)
美しき日本―いちどは訪れたい日本の観光遺産」指定の地域遺産。

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世界大百科事典(旧版)内の御柱祭の言及

【御柱祭】より

…御柱の伐採にはその年の1月に厳重な儀式が行われ,山出し,曳き出し,里曳き,冠落しには諏訪地方の全氏子が動員され,木遣りの競演などもあってにぎわう。長野県内のこのほかの神社でも御柱祭を執り行うところが多い。【岡田 荘司】。…

【木遣り】より

…《伊勢音頭》なども,伊勢神宮の20年ごとの遷宮に切り出した材木を運ぶときの木遣り歌に端を発しており,今も全国に分布する《伊勢音頭》およびその系譜の歌のもつはやしことば〈ヤートコセーノヨーイヤナ〉は木遣りの際のはやしことばであった。長野県諏訪の,7年めごとに行われる上社・下社の御柱祭(おんばしらまつり)は,山から切り出した御神木を数千人の氏子が引いてきて,両社の社地に建てる神事であるが,その際にうたわれるのが〈木遣り歌〉で,こういう形が木遣り歌の原形といえる。【仲井 幸二郎】。…

【諏訪大社】より

…8月27日には上社,下社それぞれの狩猟地であった地での御射山祭(みさやままつり)がある。特殊神事中の最大のものは,寅・申の年の4月より5月にかけて行われる式年造営御柱大祭,俗に御柱祭(おんばしらまつり)といわれるそれで,桓武天皇の代に始まるともいわれる雄壮なこの祭りは,それぞれの神殿の四隅に樅(もみ)の大木を立てるもので,上社下社四社それぞれ計16本の大木が,上社は八ヶ岳の社有御小屋(おこや)林から,下社は東俣国有林から引き出される。諏訪氏諏訪信仰【鎌田 純一】。…

【柱】より

…このように中心を象徴し神の依代となる柱の原形は,建築そのものとは無関係な,神事の際に祭場のしるしとして屋外に立てられた木や柱にあろう。柱を立てる神事で有名なのは,6年ごとに社地の四隅に巨大な柱を立てる諏訪神社の〈御柱(おんばしら)祭〉だが,祭場に柱や柱松(柱の上にたいまつを掲げたもの)を立てる神社は信州や東北地方に多い。祭場のしるしとしては,サカキなどの常緑の聖樹を伐って立てるものがより一般的だが,鉾(ほこ)や旗竿,幟(のぼり)なども柱と同じ類と考えられる。…

※「御柱祭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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