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心中物 しんじゅうもの

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

心中物
しんじゅうもの

歌舞伎劇,人形劇,浄瑠璃,その他三味線音楽の曲の分類用語。現実に起った情死事件を題材として脚色された作品の総称。天和3 (1683) 年に大坂で起きた遊女大和屋市之丞とごせの長右衛門との心中事件を,同地の嵐三右衛門座で歌舞伎劇に脚色上演したのが最初の作品。

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デジタル大辞泉の解説

しんじゅう‐もの〔シンヂユウ‐〕【心中物】

浄瑠璃・歌舞伎・歌謡などの一系統で、心中を題材としたもの。天和3年(1683)に大坂であった情死事件を歌舞伎化したのが最初とされる。以後、幕末まで多くの作品が作られた。

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世界大百科事典 第2版の解説

しんじゅうもの【心中物】

人形浄瑠璃,歌舞伎,歌謡などで心中(情死)を題材とした作品の一系統。心中を舞台化することは歌舞伎が早く,1683年(天和3),大坂の生玉で新町の遊女大和屋市之丞と呉服屋の御所(ごせ)の長右衛門が心中をとげた事件をすぐに大坂の嵐,荒木,大和屋の3座で舞台化,競演したのが最初とされている。以後,歌舞伎では,すくなくとも15種以上の心中物が,元禄時代(1688‐1704)に上方を中心に上演されている。これらの心中事件は同時に歌謡にもうたわれ,《松の葉》(1703),《松の落葉》(1710)などに収められている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

心中物
しんじゅうもの

浄瑠璃(じょうるり)・歌舞伎(かぶき)脚本の題材上の一大系統。世話物のなかで、心中、すなわち男女の情死事件に取材した作品をいう。1683年(天和3)5月17日、大坂の生玉(いくたま)で新町の遊女大和屋市之丞(やまとやいちのじょう)と呉服屋の御所(ごせ)の長右衛門が心中を遂げた事件を、大坂の嵐(あらし)三右衛門、荒木与次兵衛、大和屋甚兵衛の3座で脚色競演したのが最初とされる。以後、情死事件のたびに歌舞伎で脚色、歌謡にも歌われたが、人形浄瑠璃では1703年(元禄16)5月、竹本座で、お初徳兵衛の心中を扱った近松門左衛門の『曽根崎(そねざき)心中』が大好評を博して以来、大いに流行した。浄瑠璃から歌舞伎に書き換えられた作品も多く生まれたが、こうした流行は情死賛美の思想を誘う傾向もあり、享保(きょうほう)期(1716~36)には幕府が一時心中物の禁止令を発したため、のちには主人公が情死のまぎわに救われるという筋がつくられた。豊後節(ぶんごぶし)が流行してからは、その好題材になり、ことに新内(しんない)節には多く取り上げられた。歌舞伎の世話物には、情死に向かう最後の場を「道行(みちゆき)」として、浄瑠璃を使った舞踊劇に仕立てた脚本も多い。演劇・音曲を通じ心中物の題材で有名なのは、「お染久松」「小春治兵衛」「お千代半兵衛」「三勝半七(さんかつはんしち)」「お花半七」「お園六三(ろくさ)」「お半長右衛門」「浦里時次郎」など。一般に心中物の流行は、封建制度下の男女が社会の制約を死によって破り愛を貫くという構成に、当時の民衆が共感したからと考えられる。[松井俊諭]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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