惨い(読み)ムゴイ

デジタル大辞泉 「惨い」の意味・読み・例文・類語

むご・い【惨い/酷い】

[形][文]むご・し[ク]
見るにたえないほど痛ましい。残酷である。「―・い死に方
思いやりがない。無慈悲である。「―・い言葉
[派生]むごさ[名]
[類語]むごたらしい陰惨無残血なまぐさい酸鼻残酷残虐残忍苛酷暴虐悲惨凄惨惨憺ひど痛ましい痛痛しい見るに忍びない目も当てられない冷酷冷血血も涙もない酷薄暴戻ぼうれい凄愴惨烈酷烈戦慄惨劇猟奇猟奇的嗜虐しぎゃく嗜虐しぎゃくすさまじいグロテスク阿鼻叫喚目を背ける

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「惨い」の意味・読み・例文・類語

むご・い【惨・酷】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]むご・し 〘 形容詞ク活用 〙
  2. 物事の状態や程度がはなはだしい。すごい。
    1. [初出の実例]「其お手もとがむごひほど似まらした」(出典:虎明本狂言・二千石(室町末‐近世初))
  3. 見るにたえないほど痛ましい。悲惨である。
    1. [初出の実例]「挙句の程に諸道具売払って家出しやったではないか、ヲヲ、さうぢゃ、これは惨(ムゴ)いと呆れ」(出典歌舞伎桑名屋徳蔵入船物語(1770)三)
  4. 思いやりがない。薄情である。無慈悲である。残酷である。ひどい。
    1. [初出の実例]「しうめいとて、今せいばひする事むごひ事なれども」(出典:虎明本狂言・武悪(室町末‐近世初))
    2. 「睦まじいめをとらしい寝物語もせう物と、楽しむ間もなくほんにむごいつれない」(出典:浄瑠璃・心中天の網島(1720)中)

惨いの語誌

( 1 )近松世話浄瑠璃では挙例「心中天の網島」など、会話文に偏る傾向が認められる。また「志不可起」(一七二七)でも、見出し語に掲出されており、口頭語的性格の強い語であったことがうかがわれる。
( 2 )派生語にムゴラシイ・ムゴタラシイがあり、いずれもムゴイの強調形である。ムゴタラシイはムゴラシイよりも成立年代は下り、先行するムゴラシイの強調形として、成立した語形であると考えられる。

惨いの派生語

むご‐が・る
  1. 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙

惨いの派生語

むご‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

惨いの派生語

むご‐さ
  1. 〘 名詞 〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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