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 つみ sin; Sünde; péché

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説


つみ
sin; Sünde; péché

人間が自己の存在の場の秩序やその緊張関係を破ること。法や道徳に対する違反行為も罪と呼ばれるが,罪とは本来的に宗教的観念であり,たとえば孔子,ソクラテスあるいはモーセの教えも単なる人間生存の規範ではなく,常に天や神との緊張関係において成立している。

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デジタル大辞泉の解説

ざい【罪】[漢字項目]

[音]ザイ(呉) [訓]つみ
学習漢字]5年
〈ザイ〉
法にそむいた行い。つみ。「罪状罪名断罪犯罪微罪無罪有罪余罪傷害罪
刑罪を加える。刑罰。「斬罪(ざんざい)死罪服罪流罪(るざい)
悪いこと。あやまち。「罪悪罪業(ざいごう)功罪謝罪滅罪
〈つみ〉「罪科(つみとが)

つみ【罪】

[名]
道徳・法律などの社会規範に反する行為。「を犯す」
罰。1を犯したために受ける制裁。「に服する」「に問われる」
よくない結果に対する責任。「を他人にかぶせる」
宗教上の教義に背く行為。
㋐仏教で、仏法や戒律に背く行為。罪業(ざいごう)。
㋑キリスト教で、神の意志や愛に対する背反。
[形動]無慈悲なさま。残酷なさま。「なことをする」「な人」

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世界大百科事典 第2版の解説

つみ【罪】

罪という言葉には大別して法律に違反する〈犯罪〉,道徳的規範に反する〈罪悪〉,宗教的戒律にそむく〈罪業(ざいごう)〉の三つの意味がある。犯罪は社会の法的秩序を破る行為であり,法にもとづいて刑罪を加えられる。このように犯罪は具体的行為にもとづいて構成されるが,これに対して道徳的な罪悪感が生ずる根底には一般に良心の呵責(かしやく)といわれるものがあり,また宗教的な罪業意識をおこさせる根拠には神や仏など超越的存在がかかわっていると考えられてきた。

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大辞林 第三版の解説

つみ【罪】

( 名 )
法律的・道徳的・宗教的な規範に反する行為。 「 -を犯す」
に対して負うべき責任。また、それに対して科される制裁。刑罰。 「 -に服する」 「 -を償う」 「 -に問われる」 「人の-をかぶる」
ある行為から生ずる、他人に対する負い目や責任。 「無沙汰の-を許されたい」 「我はおん身等に対して何の-をもおかししことなし/即興詩人 鷗外
特に、宗教の教えに反する行為。キリスト教では神の意志に背く行為をいい、仏教では法に背く行為と戒律を犯す行為をいう。罪業。 「 -の意識」
禁忌を破ること。 「生け剝ぎ・逆剝ぎ・屎戸くそへ、許多ここだくの-を天つ罪と法り別けて/祝詞 六月晦大祓
欠点。短所。 「それを-と見なされ給はず/狭衣 3
( 形動 )
無慈悲なさま。思いやりがないさま。 「 -なことをする」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


つみ
sin英語
pchフランス語
Sndeドイツ語

広くは法律的、道徳的、または宗教的な規範に反した行為すべてをさすが、とくに宗教的な意味での背反行為を、法律上の犯罪などから区別して「罪」ということがある。英語のsinの訳語として用いられるときには、主として宗教的な意味である。原始社会ではタブー(禁忌)を犯すことが罪とされたが、その場合には社会的、道徳的、宗教的な罪観念が未分化で、混然一体としている。[松本 滋]

日本古代の罪と穢れ

もともと日本語では「つみ」という語は、「つつみ」のつづまった形で、「つつむ」という動詞に由来する。何事にせよ悪いことがあるのを「つつむ」といい、古語の「つつむことなし」「つつみなし」(悪いことなし)とか「つつしむ」などは、いずれもそこから派生したものである。したがって日本古代においては、道徳的悪行のみでなく、病をはじめとするもろもろの災いや穢(けが)れたこと、醜いこと、その他何でも世の中の人が憎み嫌うことはすべて「つみ」とされた。そこでは特定の神の意志ではなく、人間の共同体の全体的意向が中心的準拠点になっていることは、意味が深い。『延喜式(えんぎしき)』の「大祓詞(おおはらえのことば)」では罪を「天津罪(あまつつみ)」と「国津(くにつ)罪」とに大別している。天津罪は畔放(あはなち)、溝埋(みぞうめ)、樋放(ひはなち)、頻蒔(しきまき)、串刺(くしざし)、生剥(いきはぎ)、逆(さか)剥、屎戸(くそべ)で、神話によれば須佐之男命(すさのおのみこと)が高天原(たかまがはら)で犯した罪がその原型とされているが、主として農業共同体の秩序を乱すような行為からなっている。これに対して、国津罪は生膚断(いきはだだち)、死膚(しにはだ)断、白人(しろひと)、胡久美(こくみ)、己母犯罪(おのがははおかせるつみ)、己子(おのがこ)犯罪、母与子(ははとこと)犯罪、子与母(ことははと)犯罪、畜(けもの)犯罪、昆虫(はうむし)の災(わざわい)、高津神(たかつかみ)の災、高津鳥(たかつとり)の災、畜仆(けものたお)し、虫物為(まじものせる)罪で、殺生(せっしょう)、傷害、近親相姦(そうかん)などのほか、自然の災禍や肉体上の醜さ、呪咀(じゅそ)行為までが罪として同列に数え上げられている。「つみけがれ」という語に示されているように、これらの罪はいずれも穢れと同一視された。そしてその穢れから清まるための儀礼として、禊祓(みそぎはらえ)が重要な意味をもつ。また罪穢れは人間性に深く根ざした悪ではなく、祓えの力によって祓い清めうるものと考えられた。その点、原罪や煩悩(ぼんのう)の観念と本質的に異なっている。[松本 滋]

古代社会における罪

日本古代に限らず、古代社会においては、一般に法律的、道徳的、宗教的な罪の間に明確な分化がなく、政治・宗教的権威がそのすべてを統御していた。中国古代では、罪は「天罰」の対象であり、また君主(天子)の下す刑罰は、天罰の代行としての意味をもっていた。後代になって天の宗教性が希薄になるにつれて、罪はその本来の宗教的意義を失い、単に「法を犯すこと」を意味するようになった。キリスト教やイスラム教の母胎となった古代イスラエルの宗教伝統においても、初期においては宗教と政治は未分化であった。ただイスラエルにおいては超越的な唯一神への信仰が中心的であり、それに関連して罪は本来的に神に対する不服従、反逆という意味をもっていた。「創世記」に描かれたアダムの堕落の物語がそれをよく象徴している。[松本 滋]

宗教における罪

キリスト教においては、罪は人間の内面に深くかかわる問題としてとらえられている。すなわち、アダムが罪を犯して以来、人間は罪と死のもとにあり、人間がそれから解放されるのは、律法を忠実に守り行うことによってではなく、人間の罪を贖(あがな)って死に、そしてよみがえったイエス・キリストを信ずる信仰によってであるという。その場合、律法は人間に罪の自覚を生ぜしめる意味をもつものとされた。教会の発展に伴い、「大罪」と「小罪」の区別が行われた。大罪は偶像崇拝、殺人、姦通(かんつう)などで、これを犯した者は教会から破門され、永遠に地獄の罰を受けるものとされた。小罪は懺悔(ざんげ)し、罪を贖う行為をなすことによって、赦(ゆる)しを受けることができるものである。ローマ・カトリックは伝統的にこの区別を保持してきたが、プロテスタントはこれを認めず、ただ神に反逆する行為・態度を罪とする一般的立場をとっている。
 仏教においては、罪は「性罪(しょうざい)」と「遮罪(しゃざい)」とに大別される。性罪はどういう立場の人が行っても本質的に罪悪であることで、たとえば殺生、偸盗(ちゅうとう)、邪婬(じゃいん)、妄語(もうご)などがそれにあたる。殺生のなかでも父母や阿羅漢(あらかん)に対するそれはとくに重く、出仏身血(仏の身体を傷つけること)および破和合僧(教団を分裂攪乱(かくらん)させること)と並んで、「五逆」とよばれる重罪に数えられる。大乗仏教では、これらに誹謗正法(ひぼうしょうぼう)(仏法をそしること)を加えて五逆という場合もある。
 遮罪というのは、本来的に罪悪ではないが、戒律で禁止されていることに背反した行為をさす。たとえば飲酒(おんじゅ)などがそれである。のちに展開した浄土仏教においては、罪悪の観念は人間性に深く根ざした内面的問題として意識された。すなわち人間存在は、「罪悪深重(じんじゅう)、煩悩熾盛(しじょう)」なるものとして把握され、阿弥陀仏(あみだぶつ)の本願の力(他力)による救済が渇望、信仰された。[松本 滋]

罪の意識

宗教心理学的には、罪の意識(罪悪感)はすでに幼児期(生後4、5年ごろ)にフロイトのいう「超自我」(良心)の形成とともに生じてくる。エリクソンによれば、罪の意識とは、精神分析的には、実際に犯さなかったばかりか、事実上実行不可能な行為を、想像のうえで自分が犯してしまったと感じる意識だという。[松本 滋]
『『折口信夫全集1 古代研究』(1954・中央公論社) ▽岸本英夫編『世界の宗教』(1965・大明堂)』

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世界大百科事典内のの言及

【贖物】より

…罪穢(つみけがれ)を祓い清めるときに,その代償として差し出す物品のこと。上代においては,罪穢はともに祓によって消滅すると考えられていたが,律令制度の確立後にはもっぱら罪は刑によって,穢は祓によって解除されると考えられるようになった。…

【刑罰】より

…犯罪に対する法律上の効果として,犯罪を行った者に科せられる制裁をいう。日本の現行法は刑罰という語を用いないで刑と呼んでいる(刑法第二章)。…

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