凄まじい(読み)スサマジイ

デジタル大辞泉 「凄まじい」の意味・読み・例文・類語

すさまじ・い【凄まじい】

[形][文]すさま・じ[シク]《動詞「すさ(荒)む」の形容詞化古くは「すさまし」とも》
程度がはなはだしいさま。
㋐恐ろしい。ものすごい。「―・い形相」「―・い台風のつめあと」
㋑驚くほど激しい。「―・い反対の声」
㋒あきれるほどひどい。「にせものを本物と同等の値段で売りつける―・い商売
興ざめである。つまらない。
「―・じきもの、昼ほゆる犬」〈二五
荒涼としているさま。
山里の風―・じき夕暮れに木の葉乱れて物ぞかなしき」〈新古今・冬〉
[派生]すさまじがる[動ラ五]すさまじげ[形動]すさまじさ[名]
[類語]すごいものすごいむちゃくちゃべらぼう強度激しい強烈猛烈激烈熾烈しれつ苛烈かれつ烈烈激甚急激峻烈しゅんれつ激越矯激きょうげき過激苛酷過酷痛烈壮烈壮絶ドラスチックファナティックラジカル先鋭辛辣シビア強いきついどぎついひどい手ひどい厳しい手厳しいはなはだしい桁外れ桁違い並外れ格段著しい厳格厳重厳酷厳正冷厳峻厳しゅんげんこく鋭い手ひどいこっぴどい強力強大無敵最強力強い手強い凄烈凄絶荒荒しい荒っぽい大荒れ猛然荒らか威烈猛に

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精選版 日本国語大辞典 「凄まじい」の意味・読み・例文・類語

すさまじ・い【凄】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]すさま〘 形容詞シク活用 〙 ( 四段動詞「すさむ(荒)」の形容詞化したもの。古くは「すさまし」 )
  2. 風などが寒い。白々とした冷たさである。身が寒くなるほどである。「冷まじ」の表記で秋の季語とされる。
    1. [初出の実例]「風寒之(スサマシキ)(ころ)に船艘(ふね)を餝整(よそ)ひて迎へ賜ふこと歓(よろこ)ひ愧(かしこ)まる」(出典:日本書紀(720)舒明四年一〇月(寛文版訓))
    2. 「宝剣光寒(すさまじ)きは、冷えたる曲風なり」(出典:九位(1428頃))
  3. 色が白い。冷たさが感じられるほど白い。
    1. [初出の実例]「仙人の琪樹は白(スサマシく)して色無し」(出典:白氏文集天永四年点(1113)四)
  4. 不調和から起こる荒涼とした感じを表わす。興がさめるようだ。情趣がない。面白くない。
    1. [初出の実例]「葛城の大君を、みちのおくへつかはしたりけるに、国の司事おろそかなりとてまうけなどしたりけれど、すさまじかりければ」(出典:古今和歌集(905‐914)仮名序)
    2. 「すさまじきもの 昼ほゆる犬、春の網代(あじろ)。〈略〉まいて節分などはいとすさまじ」(出典:枕草子(10C終)二五)
  5. 恐怖を感じさせるほどだ。恐ろしい。ものすごい。
    1. [初出の実例]「滝の音ことにすさまじく松風神さびたるすまひ」(出典:平家物語(13C前)二)
    2. 「あのすさまじい腕力が潜んでいると思うと」(出典:自由学校(1950)〈獅子文六〉悪い日)
  6. 気持や興味が薄く顧みられない。冷淡である。
    1. [初出の実例]「我は此の年来(としごろ)被弃(すてられ)て有つる其(それ)の神也。而るに、此の守の思ひ不懸ず、冷(すさまじ)くて有つるを」(出典:今昔物語集(1120頃か)一九)
  7. 生活などが苦しい。
    1. [初出の実例]「世の中冷(すさまじ)き時には、和(やは)ら宋に渡なましと思けれども」(出典:今昔物語集(1120頃か)二四)
  8. 程度がはなはだしい。
    1. [初出の実例]「わがすさまじき癖あらはしぬれば」(出典:仮名草子・伊曾保物語(1639頃)上)
  9. あきれかえるほどである。とんでもないことである。もってのほかである。
    1. [初出の実例]「茶やづきもすさましい。おほかた大をん寺めへか田町だらう」(出典:洒落本・傾城買四十八手(1790)やすひ手)

凄まじいの語誌

( 1 )古くは温度感覚を表わす語として「寒」「冷」の訓に当てられることが多く、特に、現代のような「寒い」と「冷たい」の対立がなかった上代中古では、「冷」は専ら「すさまじ」の訓が当てられる。
( 2 )中古以降、「(生活などが)苦しい」「(程度が)はなはだしい」などの意で用いられるようになる。

凄まじいの派生語

すさまじ‐が・る
  1. 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙

凄まじいの派生語

すさまじ‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

凄まじいの派生語

すさまじげ‐さ
  1. 〘 名詞 〙

凄まじいの派生語

すさまじ‐さ
  1. 〘 名詞 〙

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