デジタル大辞泉 「戯」の意味・読み・例文・類語 ぎ【戯〔戲〕】[漢字項目] [常用漢字] [音]ギ(慣) ゲ(慣) [訓]たわむれる ざれる1 面白半分にふざける。「戯画・戯書・戯文/悪戯・嬉戯・球戯・児戯・遊戯」2 芝居。演劇。「戯曲」[難読]悪戯いたずら・戯作げさく・戯歌ざれうた・戯言ざれごと・たわごと・巫山戯ふざけ げ【戯】[漢字項目] ⇒ぎ あじゃら【▽戯】 おどけ。たわむれ。冗談。かりそめ。「―が誠になるわいな」〈伎・幼稚子敵討〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例 Sponserd by
精選版 日本国語大辞典 「戯」の意味・読み・例文・類語 たわぶれたはぶれ【戯】 〘 名詞 〙 ( 動詞「たわぶれる(戯)」の連用形の名詞化。「たわむれ」の古形 )① 遊び興じること。また、その遊び。[初出の実例]「右宰相中将は、権中納言とたはぶれして、対の簀子にゐ給へり」(出典:紫式部日記(1010頃か)寛弘五年九月一一日)「遊びをせんとや生まれけむ、たはぶれせんとや生まれけん」(出典:梁塵秘抄(1179頃)二)② 本気でなく、事をすること。遊びやなぐさみですること。かりそめなこと。また、ふざけること。いたずら。わるさ。[初出の実例]「たはぶれの身にしあらねば稲荷山祈る日よりぞさかはゆきける」(出典:忠見集(960頃))「ただ心ひとつに、おのづから思ふ事を、たはぶれに書きつけたれば」(出典:枕草子(10C終)三一九)③ 本気でなく、遊びやからかいとして言うこと。ふざけて言うこと。冗談。[初出の実例]「山へまかるぞときこえ給ければ例のこととたはぶれにおほしてなむきこえ給ける」(出典:多武峰少将物語(10C中))④ 男女の性的交渉を冗談めかしていう語。また、男女がいちゃつくこと。また、本気でない男女の交わり。浮気。[初出の実例]「世には悩(なづみ)の深き調謔(タハフレ)もあるに、なんぞ朽木に音信(をとづれ)の風」(出典:浮世草子・好色一代女(1686)一) たわむれたはむれ【戯】 〘 名詞 〙 ( 動詞「たわむれる(戯)」の連用形の名詞化。古くは「たわぶれ」 )① 遊び興じること。また、その遊び。[初出の実例]「足へ何といふ字をかいてやるヨなどといふこと流行(はやる)とぞ。かかるたはむれが、あどけなくておもしろかるべし」(出典:人情本・春色恵の花(1836)二)② 本気でなくある動作を、すること。ふざけること。いたずら。また、かりそめなこと。[初出の実例]「嫌疑の者やあると、たはむれにも咎む」(出典:春曙抄本枕(10C終)四三)「たはむれに母を背負ひて そのあまり軽きに泣きて 三歩あゆまず」(出典:一握の砂(1910)〈石川啄木〉我を愛する歌)③ 本気ではなく、遊びやからかいとしていうこと。冗談。[初出の実例]「わらはるる時にもむげにはらだちてたはむれしらぬ人ぞうたてき」(出典:教訓和歌西明寺百首(室町末))④ 男女の性的交渉を冗談めかしていう語。また、男女がいちゃつくこと。また、本気でない男女の交わり。浮気。[初出の実例]「昼寝の房枕夜すがらの調謔(タハムレ)此上臈十六の春の色」(出典:浮世草子・男色大鑑(1687)四)戯の補助注記「春曙抄本枕草子」の例は、諸写本には「たはふれ」とある。 たわけたはけ【戯】 〘 名詞 〙 ( 動詞「たわける(戯)」の連用形の名詞化 )① 正常でない、また常識にはずれた行為をすること。特に、みだらな行為、許されない性的ふるまいをすること。「牛たわけ」「親子たわけ」など。〔文明本節用集(室町中)〕② ふざけること。ばかなことをすること。浮かれさわぐこと。[初出の実例]「去ては此比たわけを態御作り候よと、肝を消し」(出典:信長公記(1598)首)「素人狂言もあまりたはけと心づきて」(出典:黄表紙・見徳一炊夢(1781)中)③ ばか。おろかもの。たわけもの。あほう。多く、人をののしっていう語。[初出の実例]「人をたはけにして、ふだんくふめしをしらぬといふ事があらふか」(出典:虎明本狂言・岡太夫(室町末‐近世初)) そばえそばへ【戯】 〘 名詞 〙 ( 動詞「そばえる(戯)」の連用形の名詞化 )① あまえ、ふざけること。たわむれること。② 狂いさわぐこと。特に、気象上の激しい動きにいう。[初出の実例]「ささぶきのまやの軒にはたるひして雲のそばえに霰ふる也」(出典:出観集(1170‐75頃)冬)③ ある所だけに降っている雨。通り雨。わたくし雨。日照雨。むらしぐれ。[初出の実例]「嵐吹く時雨の雨のそばへにはせきの雄波の立つ空もなし〈藤原頼宗〉」(出典:万代和歌集(1248‐49)冬) たわ‐したは‥【戯】 〘 形容詞シク活用 〙 みだらである。好色である。[初出の実例]「大に侏儒(ひきひと)・倡(わさ)優を進めて爛漫(みたりかは)しき楽を為、奇偉(あやしくうたてあ)る戯を設けて靡靡(タハシキ)声を縦(ほしままに)す」(出典:日本書紀(720)武烈八年三月(図書寮本訓))「『伊勢物語』『源氏物語』皆其習しを承て、たわしき教の第一なれど」(出典:箚録(1706)) おどけ【戯】 〘 名詞 〙 ( 動詞「おどける(戯)」の連用形の名詞化 ) たわむれること。ふざけること。滑稽(こっけい)。諧謔(かいぎゃく)。[初出の実例]「ぐはんさいがおどけ、さいつごろよりやくしゃをいるるとかやなれば、にぎやかさもさこそあらめ」(出典:評判記・けしずみ(1677))「下男の太助は能く滑稽(オドケ)を言ふ面白い男」(出典:初恋(1900)〈国木田独歩〉) ざれ【戯】 〘 名詞 〙 ( 動詞「ざれる(戯)」の連用形の名詞化 ) ざれること。ふざけたわむれること。じゃれ。[初出の実例]「爰に口太烏の徒(いたづら)者、多言にして、左札(サレ)緩怠を事とせり」(出典:御伽草子・鴉鷺合戦物語(室町時代物語大成所収)(室町中)上) じゃれ【戯】 〘 名詞 〙 ( 「ざれ(戯)」の変化した語 ) じゃれること。ふざけること。たわむれ。冗談。ざれごと。じゃれい。〔文明本節用集(室町中)〕[初出の実例]「おどされて床右衛門いまのは何も皆じゃれじゃ。うそじゃうそじゃといひすてて」(出典:浄瑠璃・堀川波鼓(1706頃か)上) あじゃら【戯】 〘 名詞 〙 =あじゃれ(戯)〔日葡辞書(1603‐04)〕[初出の実例]「そんな事人の耳へ這入ると、あじゃらが誠に成わいな」(出典:歌舞伎・幼稚子敵討(1753)二) ぎ【戯】 〘 名詞 〙 楽しみの行為をすること。あそび。しばいをすること。[初出の実例]「戯と傲とによりて、礼式をこゆる類」(出典:十善法語(1775)五) あじゃれ【戯】 〘 名詞 〙 ふざけること。冗談。あじゃら。[初出の実例]「あじゃれも事によるわいなア」(出典:歌舞伎・霊験曾我籬(1809)九幕) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例 Sponserd by
普及版 字通 「戯」の読み・字形・画数・意味 戯常用漢字 15画(旧字)戲人名用漢字 17画 [字音] ギ・キ[字訓] たわむれる[説文解字] [金文] [字形] 会意旧字は戲に作り、(き)+戈(か)。は〔説文〕五上に「古陶なり」とするが、その器制も明らかでない。は虎頭のものが豆形の台座に腰かけている形。それに戈で撃ちかかる軍戯を示す字であろう。金文の〔師虎(しこき)〕に「として左右戲のを官(司)せしむ」とあり、「左右戲」とは軍の偏隊の名であろう。〔左伝〕に「東」「西」の名があり、〔説文〕十二下に「戲は三軍のなり。一に曰く、兵なり」とし、字を声とする。「左右戲」の用法が字の初義。麾・旗と通用し、麾下をまた戯下という。戯弄の意は、虎頭のものを撃つ軍戯としての模擬儀礼から、その義に転化したのであろう。敵に開戦を通告するときに、〔左伝、僖二十八年〕「ふ、君の士と戲れん」のようにいうのが例であった。嶷・巍と通ずる字で、〔玉〕に「は嶮、巓きなり」とあり、山巓の険しいさまをいう。[訓義]1. 軍の部隊名、いくさの偏隊、いくさ、たたかう。2. たわむれる、あそぶ、からかう。3. 演戯、演劇。4. ああ、感動詞。5. 嶷・巍(ぎ)と通じ、高くけわしいさま。[古辞書の訓]〔名義抄〕戲 タハブル・タハブレ・オヨク・モテアソブ・メス/於戲 ア 〔字鏡集〕戲 ツハモノ・メス・ホトコス・ハタ(タハ)ブル・オヨク・モテアソブ・ヲヒク[熟語]戯衣▶・戯詠▶・戯宴▶・戯園▶・戯下▶・戯楽▶・戯館▶・戯玩▶・戯戯▶・戯謔▶・戯曲▶・戯劇▶・戯戟▶・戯言▶・戯語▶・戯娯▶・戯狎▶・戯▶・戯作▶・戯衫▶・戯書▶・戯倡▶・戯笑▶・戯場▶・戯縄▶・戯辱▶・戯▶・戯怠▶・戯台▶・戯談▶・戯竹▶・戯▶・戯適▶・戯▶・戯▶・戯▶・戯頭▶・戯▶・戯馬▶・戯班▶・戯筆▶・戯婦▶・戯侮▶・戯物▶・戯文▶・戯墨▶・戯慢▶・戯面▶・戯目▶・戯遊▶・戯予▶・戯弄▶・戯楼▶[下接語]悪戯・異戯・逸戯・戯・影戯・奕戯・演戯・燕戯・歌戯・角戯・赫戯・観戯・奇戯・嬉戯・伎戯・鞠戯・謔戯・球戯・局戯・禽戯・群戯・言戯・娯戯・采戯・作戯・詩戯・児戯・車戯・手戯・笑戯・象戯・杖戯・戯・怠戯・攤戯・跳戯・調戯・抵戯・戯・博戯・秘戯・百戯・戯・戯・遊戯・弄戯 出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報 Sponserd by