ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「文宗[元]」の意味・わかりやすい解説
文宗[元]
ぶんそう[げん]
Wen-zong; Wêntsung
[没]至順3(1332)
中国,元の第9代皇帝 (在位 1329~32) 。名はトゥク・テムル (図帖睦爾) 。諡は聖明元孝皇帝。武宗の次子。北方領主派推戴の泰定帝没後,エル・テムル (燕鉄木児)ら宮廷官僚派の文宗擁立が成功。文宗は父武宗と仁宗の約束で仁宗のあと帝位につくはずだった兄クシャラ (→明宗) に譲位,明宗の皇太子となった。しかしまもなくエル・テムルが明宗をその近臣の権勢を恐れて毒殺。結局,文宗が再び即位したが,エル・テムルが専権をふるった。みるべき治績を残さなかったが,学問所の奎章閣 (けいしょうかく) 設置と『経世大典』 (894巻) 編纂が注目される。
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