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(畑尚子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報
徳川家光の乳母。お福ともいう。父は明智光秀の重臣斎藤利三,母は稲葉通明の女。従兄稲葉重通の養女となり,その養子正成に嫁し,正勝ら4男を生む。のち正成と離別して大奥に仕え,1604年(慶長9)家光の誕生にともなってその乳母となる。後年,家光・忠長兄弟の嫡庶争いのとき,局はひそかに駿府の大御所家康に直訴し,家光の世嗣決定に大きな役割を果たした。大奥を統率し,もろもろの〈掟〉を制定したといい,また大名証人のうち,女子のことはすべて局一人の沙汰するところであったという。その影響力は将軍家光をはじめ幕府の内外におよんだ。29年いわゆる紫衣(しえ)事件のさなか,局は秀忠の内意をうけて上洛し,参内して後水尾天皇に拝謁した。このとき春日の局号を賜って,公家三条西実条の猶妹となった。局との縁故で幕府に登用されたものは多く,夫正成は大名,子正勝は老中,兄斎藤利宗・三存,女婿堀田正吉は旗本,なかでも正吉の子正盛は老中をへて家光側近随一の重臣に取り立てられた。晩年,湯島に天沢寺を建立し,34年,子正勝没後は麟祥院と称した。東京都文京区春日の地名は,そこに局の屋敷のあったことに由来する。
執筆者:北原 章男
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徳川家光(いえみつ)の乳母(うば)。名は福。父は明智光秀(あけちみつひで)家臣斎藤利三(としみつ)。母方の一族稲葉重通(しげみち)の養女となり、同養子正成(まさなり)に嫁し正勝らを産み、のち離婚。1604年(慶長9)家光出生に際し板倉勝重(かつしげ)の推挙により乳母となる。家光には2歳下の弟忠長(ただなが)があり、父秀忠(ひでただ)はこれを偏愛し、やがて継嗣(けいし)の序列も逆転するような状況に至る。局はこれを憂え、15年(元和1)伊勢(いせ)参宮に託して駿府(すんぷ)に至り大御所家康にこの旨を訴え、家康の取り計らいにより家光は世子と定まった。世にこれを「春日の抜参り」という。26年(寛永3)秀忠室浅井氏の没してのち、局は大奥を統率し、絶大な権勢を振るうとともに、将軍家光に対しても影響力をもった。
1629年後水尾(ごみずのお)天皇が幕府の処置に対し逆鱗(げきりん)あり譲位の意志を示すさなか、局は大御所秀忠の内意を受け上洛(じょうらく)し、参内して天盃を賜り春日局の号を許された。田安門内に宏壮(こうそう)な屋敷を営み、相州吉岡(神奈川県綾瀬(あやせ)市)に采地(さいち)3000石を領した。晩年、湯島(東京都文京区)に屋敷を賜り、天沢寺(のち麟祥院(りんしょういん))を建立し余生を過ごした。寛永(かんえい)20年9月14日没す。墓は湯島麟祥院にある。
[橋本政宣]
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1579~1643.9.14
3代将軍徳川家光の乳母。明智光秀の重臣斎藤利三(としみつ)の女。母は稲葉通明の女。名は福。父利三が山崎の戦で没したため母方に身を寄せ,のち稲葉正成の後妻となり,4男を生む。1604年(慶長9)家光の誕生にともない,その乳母となる。家光・忠長の世嗣争いの際に,徳川家康に訴えて家光の世嗣決定をみた話は有名。徳川秀忠の御台所崇源院没後は大奥を統率した。29年(寛永6)秀忠の内意により上洛。武家伝奏三条西実条(さねえだ)の猶妹(ゆうまい)となり,後水尾(ごみずのお)天皇の譲位問題にゆれる宮中に参内し対面,春日局の名を賜る。影響力は幕府内外に及び,その縁故で出世した者も多い。また江戸湯島に天沢寺を建立。34年子の稲葉正勝没後,麟祥院と称した。
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…3代将軍徳川家光の腹心堀田正盛の三男。1635年(寛永12)家光の乳母春日局の養子となり,41年世子家綱の小姓を務め,43年春日局の遺領3000石を相続。51年(慶安4)父正盛の遺領から1万石を分与され,従五位下備中守に叙任。…
※「春日局」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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