春に行う祭り。この名の祭りは暦の新旧などもあるので、だいたい2月から4月にかけて行われており、祭りの名称も土地によって異なっている。2月の初午(はつうま)、4月の卯月(うづき)8日などが代表的な祭りである。春は万物の生育する時節であり、神が山から降りてこられるのを迎え、田の仕事を開始する予祝祭となっているのが多い。東北地方では、2月または3月は、作神(さくがみ)様がお降りになる日といって春祭をする所が多い。関東地方では、3月15日をコトの日といってコト祭をする例がみられる。この日草餅(くさもち)をつくって病(やまい)送りをする。春のコト祭は中国地方にもある。3月16日にオイコトといって、この日新調した竹の箸(はし)を縄に編んで、柿(かき)の木などに刺しておくという。近畿地方でも、3月16日にコト祭をする例が大阪府や和歌山県にある。
九州には神社のにぎやかな祭りが多いが、村の静かな神事もある。長崎県壱岐(いき)島では初午祭のことを春ごもりといって、すりきり飯(高盛り飯)をつくり組合中で会食する。これを世上祭(せじょうまつり)といい、豊年を祈念する意味を含めている。熊本県菊池郡大津(おおづ)町では、春彼岸(ひがん)の中日を社日(しゃにち)といって、この日作神様が家々を訪れるという。御馳走(ごちそう)をつくって豊作を祈ることにしている。阿蘇山麓(あそさんろく)地方では、春秋の彼岸にはかならず登山する習慣があって、物忌みをすることになっていた。鹿児島県出水(いずみ)郡でも彼岸の第1日をサシと称して、山参りすることになっていた。その年の豊作を祈念する意味があったと思われる。
[大藤時彦]
立春から立夏まで,すなわち2月初旬から5月初旬までおもに2,3,4月に行われる神事祭礼をいう。祭りは本来季節をもたらす行事であるから,季節感覚に先行する傾向がある。古代律令制で神祇官所祭の四時祭では,仲春2月の祈年(としごい)(祈年祭(きねんさい))と季春3月の鎮花(はなしずめ)(鎮花祭(ちんかさい))とが春祭にあたった。祈年のトシの原義は稲穀の実りをいい,春に農事を開始するにあたり御年神に一年の稲作が無事に成就して豊かで平和な年であることを祈る祭りが祈年祭であり,鎮花祭は古来御霊を意味するモノの主である大物主神をまつる大神(おおみわ)神社の神事で,モノを花に見立てモノの飛散が悪疫を流行させぬよう落花を鎮める行事だとされる。京都今宮(いまみや)神社境内の疫神社での3月10日(現,4月第2日曜日)の〈やすらい〉祭もその例である。ただ民間では花をもって山の神を田に迎える春祭が多い。全国的には豊作を予祝して稲作の所作をする模倣儀礼(田植祭)と鬼やらいや弓射など除災招福の行事が春祭の特徴をなす。
執筆者:薗田 稔
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… 19世紀末から萌芽的な産業資本の成長がみられる。硝石資源を国有化し,これら民族産業資本を育成しようとしたバルマセダ政権は,イギリス資本と利害をともにする支配層の反対にあい,91年内乱の末に崩壊した。
[1960年代まで]
20世紀に入ると,まもなくアメリカ合衆国資本が主要な銅鉱山を購入して開発を始めたため,チリは国家経済の根幹である硝石,銅資源を外国資本に支配される結果となった。…
※「春祭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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