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最高発行額制限制度 さいこうはっこうがくせいげんせいどmaximum issue limit system

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

最高発行額制限制度
さいこうはっこうがくせいげんせいど
maximum issue limit system

中央銀行が発行しうる銀行券の最高発行額を定める制度。発行銀行券の準備内容(→正貨準備保証準備)については金,外貨,商業手形,政府証券といった一切の中央銀行の資産を同列に保証物件とする。一国のマネー・サプライは経済規模に応じて適切に決定されるべきであるという通貨主義的考えを背景とする(→通貨原理)。限外発行を認めない最高発行額直接制限制度と,一定の条件のもとで限外発行を認める最高発行額間接制限制度(最高発行額屈伸制限制度)があり,前者は 1871~1928年のフランスなどで採用され,後者は日本やドイツ連邦共和国(西ドイツ)などで採用された。日本では 1941年に制定された「兌換銀行券条例の臨時特例に関する法律」に基づいて導入され,翌 1942年に成立した旧日本銀行法に基づき施行されてきた。しかし,実際の発行高は経済取引の繁閑に伴って変動し,事実上,最高発行額も発行高を追随して定められていた。金融政策として,発行高よりもマネー・サプライの調整がより重要であるとの考えから,1997年に成立した改正日本銀行法により最高発行額制限制度は廃止され,発行額は日本銀行の自由裁量となった。西ドイツでは第2次世界大戦後に採用され,1957年ドイツ連邦銀行の発足に伴い法律上無規定となった。(→銀行券発行制度

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デジタル大辞泉の解説

さいこうはっこうがくせいげん‐せいど〔サイカウハツカウガクセイゲン‐〕【最高発行額制限制度】

発券制度の一。政府が中央銀行に対して、準備資産の内容やその比率とは無関係に銀行券発行の最高限度額を定める制度。限度外発行を認める最高発行額屈伸制限制度と、認めない最高発行額直接制限制度とに分かれる。日本では、最高発行額屈伸制限制度が採用されていたが、平成9年(1997)日本銀行法の改正により廃止。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

最高発行額制限制度
さいこうはっこうがくせいげんせいど
maximum limit system

銀行券発行制度(発券制度)の一種。この制度は、銀行券の発行を、銀行の自由に放任することなく、なんらかの方法で厳重に制限すべきであるとする通貨主義の思想に基づいたものであり、政府が銀行券発行の最高限度額を決定して中央銀行に指定し、中央銀行がその限度額を超えて発行しようとする場合には、政府の特別の許可を必要とする制度である。この場合、発行における準備資産の内容(正貨準備、保証準備)やその比率については規定を設けず、中央銀行の裁量に任せ、政府は干渉しない。この最高発行額制限制度は、フランスにおいて1928年に比例準備制に移行するまで長く採用された。わが国の発券制度は、1888年(明治21)8月の兌換(だかん)銀行券条例改正以後、屈伸制限制度が採用されてきたが、1941年(昭和16)3月に公布された兌換銀行券条例臨時特例法によって一時的に最高発行額制限制度が採用され、さらに翌1942年2月に公布された日本銀行法に取り入れられてきたが、1998年(平成10)4月の日本銀行法改正により発行額は発券銀行の自由裁量に任され、本制度は廃止された。[安田原三]

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