日本大百科全書(ニッポニカ) 「月夜野」の意味・わかりやすい解説
月夜野
つきよの
群馬県北部、利根郡(とねぐん)にあった旧町名(月夜野町(まち))。現在は同郡みなかみ町の南部東寄りを占める地域。1955年(昭和30)古馬牧(こめまき)、桃野(ももの)の2村が合併、町制改称。2005年(平成17)水上町(みなかみまち)、新治村(にいはるむら)と合併しみなかみ町となる。旧町域の中央を利根川が南流し、JR上越(じょうえつ)線と国道17号、291号が通じ、上越新幹線の上毛(じょうもう)高原駅、関越自動車道の月夜野インターチェンジがある。旧町の中心は後閑(ごかん)で、『延喜式(えんぎしき)』の上野(こうずけ)九牧の一つがあった所。県史跡に指定されている下津(しもづ)の名胡桃(なぐるみ)城跡には中世の濠塁(ごうるい)の跡が保存されている。養蚕、米作が中心となっていたが、近年ではコンニャクイモ、シイタケの栽培のほか、リンゴやサクランボなどの果樹や野菜栽培が盛んになっている。利根川西岸の大字月夜野の丘上に義民磔茂左衛門(はりつけもざえもん)を祀(まつ)る千日堂がある。同じく月夜野に縄文時代の集落である矢瀬(やぜ)遺跡(国指定史跡)があり、周囲は親水公園となっている。利根川の支流赤谷(あかや)川には黒岩(くろいわ)八景の峡谷美があり、また、国民保養温泉地に指定されている上牧温泉(かみもくおんせん)と奈女沢温泉(なめざわおんせん)(釈迦(しゃか)の霊泉)がある。
[村木定雄]
『『月夜野町史』(1986・月夜野町)』