長野県南西部、木曽郡にあった旧町名(木曽福島町(まち))。現在は木曽町の中央部を占める。1967年(昭和42)福島町と新開(しんかい)村が合併して改称、木曽福島町となった。2005年(平成17)日義(ひよし)村、開田(かいだ)村、三岳(みたけ)村と合併し木曽町となる。旧町域はほとんど平坦(へいたん)地がなく、木曽川沿いの谷底に町家は密集する。JR中央本線のほか、国道19号、361号が通る。中心集落の福島は、中世は木曽氏、近世は幕府(のち尾張(おわり)藩)の代官山村氏が居住し、また福島関所も置かれ、木曽谷の政治上の中心をなし、明治以後も行政、商業の中心地になっている。旧跡が多く、木曽(源)義仲(よしなか)および木曽氏代々の墓がある興禅寺(こうぜんじ)や山村代官屋敷、さらに近世、箱根・新居(あらい)・碓氷(うすい)とともに四大関所の一つになっていた福島関跡(現、福島関資料館)などがある。関所跡の近くに島崎藤村(とうそん)の小説『家』のモデルになった高瀬家が現存し、その近くは中山道(なかせんどう)当時の姿をよく残している。このほか木曽郷土館、木曽福島郷土館もあり、夏の木曽盆踊、水無(すいむ)神社の「神輿(みこし)まくり」も知られる。夏は御嶽(おんたけ)登山の入山口にもなる。
[小林寛義]
『『木曽福島町史 上巻』(1954・福島町)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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