未発(読み)ミハツ

デジタル大辞泉 「未発」の意味・読み・例文・類語

み‐はつ【未発】

まだ起こらないこと。まだ外に現れないこと。「事件未発うちに察する」
まだ発表・発明・発見されないこと。「未発の新見解」
[類語]未然いまだいまだに今もって今なおなおなおも依然未然相変わらず矢張りやっぱりなおかつまだまだいまだ嘗てつい・今のところ・今に至るも

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精選版 日本国語大辞典 「未発」の意味・読み・例文・類語

み‐はつ【未発】

  1. 〘 名詞 〙
  2. まだ起こっていないこと。まだ始まらないうちのこと。
    1. [初出の実例]「たとへば、同じ水の流なれども、所によりて川の名のかはるが如し。仁・義・礼・智・信は天理未発の中也」(出典:集義和書(1676頃)六)
    2. 「凡そ人間社会の悪事を止むるに、之を未発(ミハツ)に注意して予防の策を施すときは」(出典:福翁百話(1897)〈福沢諭吉〉四三)
    3. [その他の文献]〔礼記‐中庸〕
  3. まだ発見、発明していないこと。
    1. [初出の実例]「右の老師云、天経或問は精書にて、天学の書には古人の未発の事多し」(出典:随筆・文会雑記(1782)三)

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改訂新版 世界大百科事典 「未発」の意味・わかりやすい解説

未発 (みはつ)
wèi fā

中国哲学の術語。《中庸》の〈喜怒哀楽の未(いま)だ発せざる,これを中と謂(い)い,発してみな節に中(あた)る,これを和と謂う〉にもとづく。中国的心理学によれば,心は外物の刺激を受けると感情や思慮となって動くが,外物が去るとふたたび静かな状態にもどる。この静・動をそれぞれ〈未発〉〈已発いはつ)〉と呼ぶ。宋代に起こった新儒学(道学)の最大の関心事は,いついかなる時にあっても心の安定を保ち,自己の主体性を維持するにはどうすればよいか,という問題であった。道学者の到達した結論は,〈未発〉こそ心の本源であり,ちょうど草木の根をしっかり培養すれば葉が茂り実が成るように,この本源を養えば感情の動きは調和を得,自己の主体性は現実の中に埋没しない,というものだった。その具体的な方法が〈静坐〉にほかならない。程子兄弟をはじめ,楊時,羅従彦李侗(りとう)などは熱心に静坐を実践している。一方,〈已発〉においてこそ心の善性が発現するから,その善の端緒を認識し,それを拡充してゆく方が先決だとする,胡宏張栻(ちようしよく)らの一派もあった。このいわば未発派と已発派の両傾向は,のちに朱熹(しゆき)(子)の〈〉によって止揚される。
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普及版 字通 「未発」の読み・字形・画数・意味

【未発】みはつ

まだ外にあらわれない。まだ起こらない。〔中庸、一〕喜怒哀樂の未だ發せざる、之れを中と謂ふ。發して皆に中(あた)る、之れを和と謂ふ。中和を致して、天地位し、す。

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