(読み)ふう

精選版 日本国語大辞典 「楓」の意味・読み・例文・類語

ふう【楓】

〘名〙 マンサク科の落葉高木。中国、台湾に生え、日本には享保五年(一七二〇)ごろ渡来し、街路樹庭木とされる。高さ一〇~三〇メートル。葉は互生し長柄をもち掌状に三裂し長さ幅とも七~一〇センチメートル。裂片は卵状三角形で縁に細鋸歯(きょし)がある。雌雄同株。春、花被のない淡黄褐色の単性花をつける。雌花花柄の先に多数が頭状に集まり、雄花は頭状となったものがさらに総状に集まる。果実は互いに癒着(ゆちゃく)して径約二・五センチメートルの球状の集合果で柔らかいとげ状の鱗片に包まれている。樹脂を乾燥したものを楓香脂(ふうこうし)といい皮膚病の薬に用いる。漢名は楓で、日本ではこの字をカエデにあてて用いる。いがかえで。かもかつら。かつら。おかつら。〔和漢三才図会(1712)〕

かいで【楓】

〘名〙 「かえで(楓)」の変化した語。
※運歩色葉(1548)「雞冠樹 カイデノキ」

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デジタル大辞泉 「楓」の意味・読み・例文・類語

かえで〔かへで〕【×楓/槭樹】

《「かえるで(蛙手)」の音変化》
ムクロジ科カエデ属の落葉高木の総称。葉は多くは手のひら状に裂けていて、秋に紅葉または黄葉こうようする。実には翼がある。イロハカエデトウカエデイタヤカエデミネカエデカジカエデサトウカエデなど。園芸品種も多い。材は器具家具用。砂糖をとる種類もある。もみじ。かえでのき。 花=春 紅葉=秋》「紅―深し南し西す水の隈/几董
かさねの色目の名。表も裏も萌葱もえぎ色のもの。
紋所の名。1の葉を図案化したもの。
子供や女の小さくかわいらしい手。
玄関の戸をとんとんと、たたく―のわくらばにこたふる者もなかりける」〈浄・阿波鳴渡

ふう【×楓】

フウ科の落葉高木。葉は長い柄をもち、手のひら状に大きく三つに裂け、縁にぎざぎざがある。秋に紅葉する。春、新葉とともに雌花と雄花とが咲き、球形でとげのある実を結ぶ。中国の原産。樹脂は芳香があり、楓香脂ふうきょうしといい薬用。近縁のモミジバフウは北アメリカなどの原産で、葉は5~7裂する。ともに公園樹や街路樹とする。
[補説]「かえで」は別種

ふう【楓】[漢字項目]

人名用漢字] [音]フウ(漢) [訓]かつら かえで おかつら
木の名。マンサク科の落葉樹。フウ。「楓樹
木の名。カエデ。「観楓霜楓

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リフォーム用語集 「楓」の解説

カエデ科カエデ属の木の総称。漢字では槭、槭樹、楓と表記される。英語表記では「maple」。重硬ではあるが耐朽性はあまりない。造作材やフローリング材、家具などに用いられている。日本において代表的なイロハモミジは古くから栽培も行われ、園芸用として複数の栽培品種がある。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「楓」の解説

楓 (フウ・オカツラ)

学名:Liquidambar formosana
植物。マンサク科の落葉高木,園芸植物,薬用植物

楓 (カツラ)

学名:Cercidiphyllum japonicum
植物。カツラ科の落葉大高木,園芸植物

楓 (カエデ・カヤデ)

植物。カエデ科カエデ属の落葉高木または低木の総称

楓 (カツラ)

植物。藪肉桂または,木犀の古名

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