(読み)カエデ

デジタル大辞泉 「楓」の意味・読み・例文・類語

かえで〔かへで〕【×楓/槭樹】

《「かえるで(蛙手)」の音変化》
ムクロジ科カエデ属の落葉高木の総称。葉は多くは手のひら状に裂けていて、秋に紅葉または黄葉こうようする。実には翼がある。イロハカエデトウカエデイタヤカエデミネカエデカジカエデサトウカエデなど。園芸品種も多い。材は器具・家具用。砂糖をとる種類もある。もみじ。かえでのき。 花=春 紅葉=秋》「紅―深し南し西す水の隈/几董
かさねの色目の名。表も裏も萌葱もえぎ色のもの。
紋所の名。1の葉を図案化したもの。
子供や女の小さくかわいらしい手。
玄関の戸をとんとんと、たたく―のわくらばにこたふる者もなかりける」〈浄・阿波鳴渡

ふう【×楓】

フウ科の落葉高木。葉は長い柄をもち、手のひら状に大きく三つに裂け、縁にぎざぎざがある。秋に紅葉する。春、新葉とともに雌花雄花とが咲き、球形でとげのある実を結ぶ。中国の原産樹脂芳香があり、楓香脂ふうきょうしといい薬用。近縁モミジバフウは北アメリカなどの原産で、葉は5~7裂する。ともに公園樹や街路樹とする。
[補説]「かえで」は別種

ふう【楓】[漢字項目]

人名用漢字] [音]フウ(漢) [訓]かつら かえで おかつら
木の名。マンサク科落葉樹。フウ。「楓樹
木の名。カエデ。「観楓霜楓

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精選版 日本国語大辞典 「楓」の意味・読み・例文・類語

かえ‐でかへ‥【楓・槭樹・鶏冠木】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「かえるで(蝦手)」の変化した語 )
  2. カエデ科カエデ属植物の総称名。北半球の温帯地方に約一二五種あり、日本には約二五種が野生し、観賞用として庭木や盆栽にする。高さ二メートルから二〇メートルに達するものもある。葉は対生し多くは単葉の掌形で長柄をそなえ、先端に鋸歯(きょし)がある。霜がおりると黄葉や紅葉する。四、五月ごろ小枝の先に四~五弁の小花をつける。果実は竹とんぼに似て翼があり、左右二室に分かれている。材は、建築、家具、彫刻、楽器材などに用いる。もみじ。かえるで。かえでのき。かえるでのき。《 季語・秋 》

▼かえでの花《 季語・春 》

▼かえでの芽《 季語・春 》

  1. [初出の実例]「鶏冠樹 加戸天」(出典:新撰字鏡(898‐901頃))
  2. 「やよひばかりに、かへでのもみぢのいとおもしろきを折りて」(出典:伊勢物語(10C前)二〇)
  3. (かさね)の色目。表裏ともに萌葱(もえぎ)のものをいう。
    1. [初出の実例]「鶏冠木、表裏同」(出典:雁衣鈔(鎌倉末か))
  4. 紋所の名。の葉を図案化したもの。
    1. [初出の実例]「金泥にて鶏冠木(カエデ)を書きたる直垂に」(出典:太平記(14C後)四〇)
  5. 小児や女子などの小さくかわいらしい手を、の葉にたとえていう。
    1. [初出の実例]「玄関の戸をとんとんと、たたく楓のわくらばに」(出典:浄瑠璃・夕霧阿波鳴渡(1712頃)中)

楓の語誌

( 1 )紅葉する樹木の代表的なものであり、モミヂとあるのはである場合が多い。そのためか、詩歌にカヘデ、カヘルデの語形は少ない。
( 2 )「楓」の字は、「本草和名」「新撰字鏡」にカツラと読み、「和名抄」にはヲカツラとしている。これらによって、「万葉集」の「楓」もカツラと訓読されている。のちに、「楓」がカエデに用いられるようになったが、中国で「楓」というのは、マンサク科のフウであり、カエデとは別のものである。


ふう【楓】

  1. 〘 名詞 〙 マンサク科の落葉高木。中国、台湾に生え、日本には享保五年(一七二〇)ごろ渡来し、街路樹、庭木とされる。高さ一〇~三〇メートル。葉は互生し長柄をもち掌状に三裂し長さ幅とも七~一〇センチメートル。裂片は卵状三角形で縁に細鋸歯(きょし)がある。雌雄同株。春、花被のない淡黄褐色の単性花をつける。雌花は花柄の先に多数が頭状に集まり、雄花は頭状となったものがさらに総状に集まる。果実は互いに癒着(ゆちゃく)して径約二・五センチメートルの球状の集合果で柔らかいとげ状の鱗片に包まれている。樹脂を乾燥したものを楓香脂(ふうこうし)といい皮膚病の薬に用いる。漢名は楓で、日本ではこの字をカエデにあてて用いる。いがかえで。かもかつら。かつら。おかつら。〔和漢三才図会(1712)〕

かいで【楓】

  1. 〘 名詞 〙 「かえで(楓)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「雞冠樹 カイデノキ」(出典:運歩色葉集(1548))

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普及版 字通 「楓」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 13画

[字音] フウ
[字訓] おかつら・かえで

[説文解字]

[字形] 形声
声符は風(ふう)。〔説文〕六上に「楓木なり」(段注本)とあり、厚葉弱枝にしてよく風に動き、葉ずれの音がする木であるという。北方の楓と南方の楓とまた異なり、南方の楓の実は栗房に似て、これを焚(や)けば香気を発する木とされるから、わが国のかえでとは異なる木である。

[訓義]
1. おかつら、からかえで。
2. かえで。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕楓 香樹なり、加豆良(かつら) 〔和名抄〕楓 乎加豆良(をかつら)/冠木 楊氏語抄に云ふ、冠木、加倍天乃岐(かへでのき)。辨色立に云ふ、頭樹、加比提乃岐(かひるでのき) 〔名義抄〕楓 カツラ・ヲカツラ 〔立〕楓 カツラ・クヒセ・ヲカツラ・ナガシ・タカシ・ヤハラ

[熟語]
楓岸・楓橋・楓江・楓香・楓膠・楓子・楓樹・楓宸・楓陛・楓林
[下接語]
槐楓・岸楓・錦楓・江楓・香楓・宸楓・赤楓・霜楓・丹楓・夜楓・老楓

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

リフォーム用語集 「楓」の解説

カエデ科カエデ属の木の総称。漢字では槭、槭樹、楓と表記される。英語表記では「maple」。重硬ではあるが耐朽性はあまりない。造作材やフローリング材、家具などに用いられている。日本において代表的なイロハモミジは古くから栽培も行われ、園芸用として複数の栽培品種がある。

出典 リフォーム ホームプロリフォーム用語集について 情報

動植物名よみかた辞典 普及版 「楓」の解説

楓 (フウ・オカツラ)

学名:Liquidambar formosana
植物。マンサク科の落葉高木,園芸植物,薬用植物

楓 (カツラ)

学名:Cercidiphyllum japonicum
植物。カツラ科の落葉大高木,園芸植物

楓 (カエデ・カヤデ)

植物。カエデ科カエデ属の落葉高木または低木の総称

楓 (カツラ)

植物。藪肉桂または,木犀の古名

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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