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僧侶のこと。サンスクリットのシュラマナśramaṇaの音訳で,古代インドにおいて家庭を捨てて出家し,衣を着て旅をしながら修行する行者をさした。日本では《日本霊異記》に薬師寺沙門景戒(けいかい)とか,元興(がんごう)寺沙門慈応とかその用例がみえ,また上表文などに前入唐沙門最澄とか,沙門円珍と自署する例もある。これらのことから,僧侶がその所属寺院や社会的身分を記す場合に,〈僧〉と同義語として使用されたことがわかる。中世においても,日蓮が沙門日蓮と自称し,また《元亨釈書(げんこうしやくしよ)》に師錬が済北沙門と称し,《三国仏法伝通縁起》に東大寺沙門凝然(ぎようねん)とみえるなど,禅宗や南都系の僧に沙門を冠する例が多くみえる。このように,僧と沙門の区別は明確でなく,概念も一定していたとはいえない。
→僧
執筆者:藤井 学
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…なお尼は比丘尼の語尾だけをとった略称である。比丘とは乞食者(パーリ語のビックbhikkhu)の意味で,仏教の修行者が元来,出家・遊行を旨とし,托鉢(たくはつ)すなわち鉢を持って食を乞うて生活する沙門(しやもん)であったことに由来する。修行者はまた,教団内の役割に応じて,上座(大衆を統率する),維那(寺務をつかさどる),阿闍梨(あじやり)(大衆の教育に当たる),和尚(弟子を養育する)等とよばれ,あるいは法師(在家信者へ説法。…
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