清澄寺(せいちょうじ 兵庫県)(読み)せいちょうじ

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

清澄寺(せいちょうじ 兵庫県)
せいちょうじ

兵庫県宝塚市米谷(まいたに)にある真言(しんごん)三宝宗本山。蓬莱(ほうらい)山と号し、一般に清荒神(きよしこうじん)とよばれる。本尊は大日如来(にょらい)。境内の天堂には三宝荒神、歓喜天、弁財天を祀(まつ)る。893年(寛平5)宇多(うだ)天皇の勅命により比叡山(ひえいざん)の静観、東寺(とうじ)の益信(やくしん)を開山として創建、讃岐(さぬき)(香川県)の仏工定円(じょうえん)が釈迦(しゃか)、阿弥陀(あみだ)、弥勒(みろく)の三尊を、さらに丈六の三仏を刻して安置した。寺伝によると、伊勢(いせ)の内宮(ないくう)・外宮(げくう)、熊野三山などより15神を勧請(かんじょう)し、当時は米谷一帯に壮大な伽藍(がらん)堂塔が建立されて栄えたと伝えるが、1183年(寿永2)源平の兵火で全焼。1190年(建久1)源頼朝(よりとも)が再建するが、1579年(天正7)ふたたび炎上、江戸末期に至って諸堂再興された。もとは真言宗御室(おむろ)派に属したが、1946年(昭和21)三宝荒神および歓喜天に対する信仰と修行を目的とする現宗派を開き、本山となる。日々、歓喜天像に油を注ぐ浴油供(よくゆく)の秘法が修せられる。木造大日如来坐像(ざぞう)、絹本着色千手千眼観世音(せんじゅかんぜおん)像、同釈迦三尊図は重要文化財。境内には中国廬山(ろざん)を模したという庭園富岡鉄斎(てっさい)美術館がある。

[大鹿実秋]

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