ことわざを知る辞典「濡れ手で粟」の解説
濡れ手で粟
[使用例] 彼は細かい
[使用例] 利益というものは決してそう楽々と得られるものではありません。商品を高く売れば容易に利益を得られるかもしれませんが、お互いに激しい競争をくりひろげて、サービスといわず、コストといわず、品質といわず、あらゆる点で努力しているわけですから、そんな濡れ手で粟のようなうまい話はないのです。[松下幸之助*企業の社会的責任とは何か?|2005]
[解説] 「濡れ手で粟をつかむ」ともいいいます。粟をつかむのにわざわざ手を濡らすことは、ふつう考えられませんが、実際にそんなことはしなくても、粟粒が二ミリほどの球形や卵形でごく軽いのを実感していると、濡れた手に簡単にたくさん付着するイメージがわいてくるでしょう。簡単に大もうけするたとえですが、そんなうまい話はめったにないので、ふつうは否定的な文脈で使われます。
粟は、五穀の一つで、古くから山間地などで栽培され、他の穀物が不作の年でも収穫できる重要な穀物でした。しかし、今日では、わずかしか栽培されず、日常あまり見かけなくなったため、「濡れ手で泡」と誤解されることも多くなっています。しかし、「泡」と解したのでは、つかんでも何にもならないものなので、比喩的意味がわからなくなってしまいます。
[類句]
〔異形〕濡れ手で粟のつかみ取り
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