炭酸ナトリウム(読み)たんさんナトリウム(英語表記)sodium carbonate

  • 炭酸ナトリウム sodium carbonate

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

化学式 Na2CO3 。工業的にはソーダ灰炭酸ソーダともいう。化学工業上最も重要な製品の1つで,1823年ルブラン法により工業的に初めて製造されたが,現在ではアンモニアソーダ法で多量に生産される。無色粉末で,融点 851℃,比重 2.53。水溶液から 32℃以下で出させると 10水塩 (洗濯ソーダ結晶ソーダともいう。無色斜方晶系結晶) ,32~35℃で7水塩 (斜方晶系) ,35℃以上では1水塩 (斜方晶系,柱状晶ないし板状晶) が析出する。水に易溶,水溶液は強アルカリ性を呈する。ほかの用途には,板ガラスおよびガラス製品類の製造,水ガラス,重曹,その他各種のナトリウム塩や炭酸マグネシウムなどの炭酸塩の製造,グルタミン酸ナトリウム,アミノ酸醤油の製造,中間体,染料香料,医薬,農薬などの合成,綿糸布,羊毛などの洗浄石鹸の製造,紙パルプの製造,水の軟化,ゴムの再生などがある。

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百科事典マイペディアの解説

化学式はNa2CO3。炭酸ソーダまたは単にソーダとも。無水和物はソーダ灰とも呼ばれ,比重2.533,融点852℃の無色結晶。きわめて安定で熱しても分解しない。水によく溶け,水溶液からは32℃以下で10水和物,32〜35℃で7水和物,35℃以上で1水和物が得られる。10水和物は俗に洗濯ソーダと呼ばれ,空気中に放置すると風解して1水和物となりやすい。水溶液は強アルカリ性,二酸化炭素を吸収して炭酸水素ナトリウムとなる。化学工業上最も重要な製品の一つで,セッケン,ガラス,苛性ソーダ,重曹などの製造原料,製紙,染料,アミノ酸製造,洗濯用,試薬,医薬品として用いられる。工業的には主としてアンモニアソーダ法によって大量につくられる。
→関連項目ソーダ灰脱硫炭酸水素ナトリウム発泡剤

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世界大百科事典 第2版の解説

化学式Na2CO3。俗に炭酸ソーダまたはソーダsodaと呼ばれる。無水和物はソーダ灰,10水和物Na2CO3・10H2Oは結晶ソーダまたは洗濯ソーダとも呼ばれる。化学工業上最も重要な製品の一つである。天然には,1水和物Na2CO3・H2Oがサーモナトライトthermonatrite(thermo‐は熱の意。高温での晶出に由来する名)として産出。
[性質]
 無水和物は無色の粉末。融点852℃。比重2.533。

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大辞林 第三版の解説

ナトリウムの炭酸塩。化学式 Na2CO3 無水物はソーダ灰ともよばれ、白色吸湿性の粉末。一〇水和物は無色の結晶で洗濯ソーダともいい、風解して一水和物になる。工業的にはアンモニアソーダ法で大量につくり、ガラス・石鹼・水酸化ナトリウムなどの原料とするほか、製紙・染料工業にも重要。炭酸ソーダ。ソーダ。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

炭酸のナトリウム塩。俗に炭酸ソーダまたは単にソーダといわれる。無水和物にはソーダ灰(無水炭酸ナトリウム)、十水和物には洗濯ソーダ(結晶ソーダ)の名がある。自然界には一水和物(サーモナトライト)、十水和物(ナトロン)として存在する。炭酸ナトリウムを多く含んだ塩湖すなわちソーダ湖の周辺や湖底にはNa2CO3・NaHCO3・2H2Oの組成の結晶となって堆積(たいせき)しておりトロナとよばれる。このような組成の天然ソーダはアメリカ、アフリカ、エジプト、中国などに多量に産出する。古代エジプトでガラスやせっけんなどの製造に用いられた世界最初のソーダである。炭酸ナトリウムは海藻を焼いた灰の中にも含まれ、昔はこれから抽出されていた。[鳥居泰男]

製法

工業的にはアンモニアソーダ法(ソルベー法)、ルブラン法、電解ソーダ法の三つの方法があるが、現在日本ではアンモニアソーダ法以外はほとんど行われていない。この方法では食塩の飽和溶液にアンモニアを吸収させたのち、二酸化炭素を通ずる。析出してきた炭酸水素ナトリウムを焼いて炭酸ナトリウムとする。ナトリウムの利用率を高めるため、日本ではこの方法の変形として塩安ソーダ法が開発されている。
 なお、近年天然ソーダの採掘が大規模に行われるようになり、アメリカなどでは生産量の80%以上がこの方法によっている。[鳥居泰男]

性質

無水和物は白色吸湿性の粉末で、水によく溶けるがアルコールには溶けにくい。水溶液から結晶が析出する場合、32℃以下では十水和物、32~35℃では七水和物、35℃以上では一水和物となる。一水和物は白色潮解性の結晶。十水和物は風解性の結晶で、空気中で結晶水を失って一水和物となる。32℃で結晶水の中に溶ける。水溶液は加水分解して強いアルカリ性を示す。
  Na2CO3+H2ONaHCO3+NaOH
塩酸や硫酸などの強酸を加えると二酸化炭素を発生する。逆に、二酸化炭素を吸収させると炭酸水素ナトリウムが沈殿してくる。[鳥居泰男]

用途

炭酸ナトリウムはアルカリとして、またナトリウム源として広く利用され化学工業上もっとも重要なものの一つである。ガラスの原料となるほか、せっけん、紙パルプ、食品、化学薬品の製造に用いられる。また、洗濯用洗剤、医薬品としての用途もある。[鳥居泰男]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (ナトリウムはNatrium) ナトリウムの炭酸塩。化学式 Na2CO3 無色、吸湿性のある粉末。ほかに一・七・一〇水塩がある。一〇水塩は単斜晶系の結晶でセンタクソーダともいう。せっけん、ガラス、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの原料のほか、医薬品としても用いられる。炭酸ソーダ。ソーダ。

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化学辞典 第2版の解説

Na2CO3(105.99).炭酸ソーダまたは単にソーダともいう.無水物はソーダ灰,十水和物は洗濯ソーダともよばれる.サーモナトライトとして一水和物が天然に産出する.工業的にはアンモニアソーダ法(ソルベー法)でつくる.炭酸水素ナトリウムを加熱分解すると無水物が得られる.無水物は白色の粉末.融点851 ℃.密度2.53 g cm-3.水100 g に対する溶解度は7.1 g(0 ℃),48.5 g(104 ℃).エタノール,エーテルに不溶.水溶液から晶出させると十水和物( < 32.08 ℃),七水和物(32.08~35.27 ℃),一水和物( > 35.27 ℃)が析出する.十水和物は単斜晶系結晶.密度1.44 g cm-3.空気中で風解して一水和物となる.一水和物は白色の斜方晶系結晶.密度2.25 g cm-3.潮解性で,100 ℃ で無水物となる.水溶液は加水分解して弱アルカリ性を示す.また,二酸化炭素を吸収して炭酸水素ナトリウムを生じる.化学工業上もっとも重要な化合物の一つである.せっけん,ガラス,水酸化ナトリウム,炭酸水素ナトリウムの原料,製紙,染料工業,洗濯用などに用いられ,分析試薬,食品添加物,医薬品としても用いられる.[CAS 497-19-8:Na2CO3][CAS 6132-02-1:Na2CO3・10H2O]

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世界大百科事典内の炭酸ナトリウムの言及

【ソーダ】より

…炭酸ナトリウムNa2CO3の俗称。曹達と書くこともある。…

※「炭酸ナトリウム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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