(読み)イノシシ

デジタル大辞泉 「猪」の意味・読み・例文・類語

い‐の‐しし〔ゐ‐〕【×猪】

《「しし」の意で、「しし」は食肉用のけものをいう》偶蹄ぐうていイノシシ科の哺乳類体長約1.4メートルで、首が短く、背面に黒褐色の剛毛がある。雄は犬歯が発達している。夜行性で雑食。興奮すると、背の怒り毛を立てて突進する。日本では本州以南に分布。幼獣には瓜模様の縦斑がある。原種で、肉は山鯨やまくじら牡丹ぼたんといわれ食用。しし。いのこ。 秋》「―の寝にゆく方や明の月/去来
[類語]瓜坊

ちょ【猪】[漢字項目]

人名用漢字] [音]チョ(呉)(漢) [訓]い いのしし
動物の名。イノシシ。「猪突野猪
[補説]「猪」「猪」ともに人名用漢字。
[名のり]しし
難読猪牙船ちょきぶね猪口ちょく・ちょこ豪猪やまあらし

い〔ゐ〕【×猪/×豬】

イノシシブタ総称。特に、イノシシ。
「―、鹿をなん生贄いけにへにし侍りけるとぞ」〈宇治拾遺・一〇〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「猪」の意味・読み・例文・類語

い‐の‐ししゐ‥【猪】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 「猪(い)の獣(しし)」の意 ) イノシシ科の哺乳類。体長一~一・五メートル。ブタの原種で口先が長く、犬歯は強大で口の外へ突き出てきばとなる。体毛は黒褐色。ヨーロッパ、アジア、北アフリカに広く分布し、日本では北海道を除く各地に生息する。山地の森林にすみ、夜出て植物の根やミミズを掘り出して食べるほか、ヘビカエルなどを捕食する。子は体に縦すじがあり「うりぼう」と呼ばれる。肉は古くから山鯨(やまくじら)と呼ばれて賞味され、一般に猪鍋(ししなべ)にして食べる。しし。い。いのこ。やちょ。《 季語・秋 》
    1. [初出の実例]「山猪(ヰノシシ)を献ること有り」(出典:日本書紀(720)崇峻五年一〇月(図書寮本訓))
    2. 「猪のししのねがえりにちる萩の露」(出典:雑俳・柳多留‐四六(1808))
  3. ( の、走ると容易に曲がれないほど突っ走る性質から ) あまり熟慮しないで、あるいはやたらにものごとに突進して後退しない行動をとる者のたとえ。
  4. 明治三二年(一八九九)から大正六年(一九一七)にかけて発行された一〇円紙幣の異称。裏面にイノシシの図があるところからいう。いのししの横っ飛び。〔訂正増補新らしい言葉字引(1919)〕

猪の語誌

古くは単独のイで猪を指した。シシは肉のことを指し、また、肉を食用とすることができる獣一般を指す語であったので、狩りの主要対象であった鹿とともに猪を指すことが多かった。後に、猪をイノシシ、鹿をカノシシと言って呼び分けるようになる。シシは「ししふせぎ(猪防)」「ししおどし(鹿威)」などの語の中にその意味が残っている。


【猪】

  1. 〘 名詞 〙 イノシシ、ブタの総称。特にイノシシ。
    1. [初出の実例]「大猪出でき。即ち天皇鳴鏑(なりかぶら)を以ちて其の猪を射たまひし時」(出典:古事記(712)下)
    2. 「馬副四人、か千冠(ちかぶり)に猪(イ)の皮の尻鞘(しりざや)の太刀佩いて」(出典:太平記(14C後)一三)

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普及版 字通 「猪」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 11画

(旧字)
人名用漢字 12画

(異体字)豬
16画

[字音] チョ
[字訓] いのしし

[説文解字]

[字形] 形声
正字は豬に作り、(者)(しや)声。(著)・(ちよ)の声がある。〔説文〕九下に「豕(し)にして三毛叢居なるなり」という。〔段注〕に「叢居」を「叢尻(そうかう)」にして、一孔に三毛を生ずる意であるとする。犀(さい)もまた一孔三毛であるという。

[訓義]
1. いのしし。
2. ぶた、いのこ。

[古辞書の訓]
〔和名抄〕豬 一名(てい)、に云ふ、一名豕、井(ゐ)〔名義抄〕野 クサヰナギ 〔字鏡集〕 ヰ・ヰノシシ

[熟語]
・猪・猪狗・猪頸・猪溷・猪子・猪屎・猪・猪水・猪胆・猪・猪頭・猪突・猪豚・猪肉・猪毛・猪熊・猪欄・猪
[下接語]
偃猪・猪・豪猪・伏猪・野猪・養猪

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

動植物名よみかた辞典 普及版 「猪」の解説

猪 (イノシシ)

学名:Sus scrofa
動物。イノシシ科の哺乳動物

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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