琴浦(読み)ことうら

改訂新版 世界大百科事典 「琴浦」の意味・わかりやすい解説

琴浦[町] (ことうら)

鳥取県中部,東伯(とうはく)郡の町。2004年9月赤碕(あかさき)町と東伯町が合体して成立した。人口1万8531(2010)。

琴浦町西部の旧町。東伯郡所属。人口8344(2000)。北は日本海に面した南北に細長い町で,大山外輪山である矢筈山(やはずがせん)から発する勝田川沿いに低地が開け,大山のすそ野が日本海に達している。船上(せんじよう)山は後醍醐天皇を奉じた名和長年と鎌倉幕府方との古戦場で建武の新政の発祥の地といわれ,山頂には行宮跡(史)が残る。中心集落の赤碕は《延喜式》の清水駅と推定され,近世宿場町であった。勝田川上流には山川木地,大父木地などかつての木地屋集落がみられる。農漁業基幹産業で,米作,二十世紀梨,スイカの栽培,酪農などが行われ,漁業は赤碕港を基地としてイカ,ハマチ漁が行われる。海岸線に並行して国道9号線,JR山陰本線が通る。

琴浦町東部の旧町。東伯郡所属。人口1万2098(2000)。日本海に面した南北に細長い町で,大山東麓の火山灰土に覆われた山地,丘陵が広い面積を占め,中央を縦断する加勢蛇(かせいち)川沿いに河岸段丘扇状地が開ける。中心集落の浦安は旧市場町で,小工場が多い。古く和名抄》の郷名にも見える八橋(やばせ)は米子往来,八橋往来の旧宿場町で,江戸前期は八橋城の城下町であった。農業が基幹産業で,特に大山の広大なすそ野を利用した酪農,養鶏,芝栽培が盛んである。槻下(つきのした)には奈良時代の斎尾廃寺跡(特史)や中世の槻下豪族居館跡があり,加勢蛇川上流には伯耆の大シイ(天)や大山滝がある。JR山陰本線,国道9号線が通る。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「琴浦」の意味・わかりやすい解説

琴浦
ことうら

岡山県南部、倉敷市の一地区。旧琴浦町。田の口港は近世には由加山(ゆがさん)(蓮台寺(れんだいじ)、由加神社本宮)と讃岐(さぬき)(香川県)の金毘羅大権現(こんぴらだいごんげん)を結ぶ港町として繁栄した。また児島(こじま)機業地の一部で、真田紐(さなだひも)、小倉(こくら)帯地の発祥地。現在も縫製業が多い。

[編集部]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「琴浦」の意味・わかりやすい解説

琴浦
ことうら

岡山県南部,倉敷市の一地区。旧町名。 1956年児島市と合体,さらに 67年児島市の合体により倉敷市の一部となる。児島半島に位置し,田の口,沖熊などの地区が海岸沿いに発達した。西隣の味野とともに古くからの機業地で,学生服や作業服生産の中心地。

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