由利本荘(市)(読み)ゆりほんじょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「由利本荘(市)」の意味・わかりやすい解説

由利本荘(市)
ゆりほんじょう

秋田県南西部に位置する市。2005年(平成17)、本荘市(ほんじょうし)、由利(ゆり)郡矢島町(やしままち)、岩城町(いわきまち)、由利町、西目町(にしめまち)、鳥海町(ちょうかいまち)、東由利町大内町(おおうちまち)が合併して成立。南は鳥海山、東は出羽(でわ)丘陵に囲まれ、西は日本海に面する。中央を子吉(こよし)川が貫流し、日本海に注ぐ。市域は、南部の山間地域、子吉川流域地域、西部の海岸平野地域の3地域からなる。海岸寄りにJR羽越本線が縦貫し、羽後本荘駅から由利高原鉄道鳥海山ろく線が分岐し、矢島駅に至る。海岸沿いを国道7号が走り、105号、107号、108号、341号、398号の各国道が東西に通じている。また、日本海東北自動車道の本荘、松ヶ崎亀田岩城の各インターチェンジがある。

 中心となる旧本荘市地区は、子吉川と支流の芋(いも)川、石沢川の形成した沖積平野にある。古代には由理柵(ゆりのき)が設けられた。市域の中世は由利十二頭の赤尾津(あこうづ)氏、滝沢氏、岩谷氏、矢島氏などが勢力を振るった。近世関ヶ原の戦い以後に最上義光領となり、義光は楯岡氏を亀田(岩城地区)に置き、市域は最上氏蔵分と楯岡、滝沢、岩谷の三氏領に分かれた。楯岡氏は子吉川河口尾崎山(旧本荘市地区)に築城して移り、最上氏改易後は六郷氏が入って本荘藩2万石を領した。亀田は岩城氏亀田藩2万石、矢島は生駒氏矢島藩1万石の城下町として明治にいたる。

 本荘平野の本荘米をはじめとして米作中心の農業が主産業。子吉川北岸の砂丘などで野菜や果樹の栽培が行われ、大内メロン、葉タバコなども栽培される。林業やシイタケナメコタケノコなどの栽培、大内牛などの畜産や酪農もある。日本海側では漁業が盛んで、クルマエビ、マダイ、桜マス、ヒラメなどが漁獲される。工業は製材やベニア板の製造、電子部品や弱電企業の進出もみられる。旧本荘市地区では本荘塗、本荘こけし、刃物などを特産する。

 秋田県立大学のシステム科学技術学部や東北大学の地震噴火予知研究観測センター(地震観測所)、亀田城跡や美術館などを備えた「天鷺(あまさぎ)村」、県立岩城少年自然の家などがある。江戸中期につくられた土田家住宅は県最古級の民家であり、国の重要文化財に指定されている。法体(ほったい)の滝と甌穴(おうけつ)は県の名勝および天然記念物、本海番楽(ほんかいばんがく)は国の重要無形民俗文化財。芋川上流に滝温泉、鳥海山麓(さんろく)に湯ノ沢温泉がある。矢島地区に鳥海山への登山口があり、二合目にある花立(はなだて)牧場高原一帯では、スポーツやレジャー施設がつくられるなど観光開発が進んでいる。面積1209.59平方キロメートル、人口7万4707(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android