目安箱(読み)メヤスバコ

デジタル大辞泉 「目安箱」の意味・読み・例文・類語

めやす‐ばこ【目安箱】

享保6年(1721)8代将軍徳川吉宗享保の改革一つとして評定所前に設置して庶民進言・不満などを投書させた箱。箱は将軍の面前で開けられ、将軍が自ら開封し閲覧した。訴状箱。→箱訴
官公庁や学校などで、広く意見を募るために設置される投書用の箱。→パブリックコメント

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精選版 日本国語大辞典 「目安箱」の意味・読み・例文・類語

めやす‐ばこ【目安箱】

  1. 〘 名詞 〙 広く庶民の要求や不満などの投書を受けるために設けられた箱。古く、戦国時代には置かれていたというが、享保六年(一七二一)、徳川八代将軍吉宗によって、評定所の門前に置かれ、庶民の利用を奨励した。諸役人の非行を正し、行政の厳正をはかるのに役立った。幕府にならってこれを置いた藩もあった。訴状箱。
    1. [初出の実例]「御陣留主には、御蔵の前衆、目安をうけとり、目安箱(ハコ)に入置也」(出典:甲陽軍鑑(17C初)品一七)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「目安箱」の意味・わかりやすい解説

目安箱
めやすばこ

江戸幕府8代将軍徳川吉宗(よしむね)が享保(きょうほう)の改革の一環として、将軍への直訴(じきそ)状を受理するため設けた箱。1721年(享保6)8月以降毎月三度評定所(ひょうじょうしょ)の前に置き、27年からは京都大坂に、36年(元文1)からは駿府(すんぷ)(静岡市)・甲府にも設けた。箱は将軍の面前で錠があけられ、訴状は将軍が自ら開封し、その採否は将軍の一存によった。この箱設置の目的は、言路を開いて庶民の不満の解消を図るとともに、広く施政上有益な建言を求めること、さらに将軍が直接下からの情報を握ることによって諸役人の監督を強化し、行政機構の緊張を高めようという意図もあった。その結果は、すでにその年の秋、浪人山下幸内(こうない)が吉宗の緊縮政策を大胆に批判した上書を投じて評判になったのをはじめ、救貧、防火、新田開発など諸方面にわたる意見が施政に採用され、享保以降においても幾多の効果を示す事例が知られている。

[辻 達也]

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百科事典マイペディア 「目安箱」の意味・わかりやすい解説

目安箱【めやすばこ】

江戸時代,一般庶民の不満や要求の意見を投書させた箱。8代将軍徳川吉宗の考案によるもので,民心把握の目的で1721年江戸城竜ノ口評定所前に設置。小石川養生所の設置や,江戸市中の防火制度の整備などは,目安箱の投書に基づくものといわれる。→町火消
→関連項目享保改革

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改訂新版 世界大百科事典 「目安箱」の意味・わかりやすい解説

目安箱 (めやすばこ)

江戸幕府8代将軍徳川吉宗が創設した将軍への直訴状を受理する箱。1721年(享保6)8月以降毎月3回評定所前に設置。政治上有益な意見や不満の陳述を庶民に求めた。その後京都,大坂,駿府,甲府などにも置いた。言路を開いて庶民の不満の解消をはかるとともに,将軍が直接下からの情報をにぎることによって,諸役人の監督を強化しようという意図もあった。施政上具体的に活用された意見も少なくない。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「目安箱」の解説

目安箱
めやすばこ

評定所前箱・訴状箱とも。1721年(享保6)閏7月,8代将軍徳川吉宗が広く民意をきくため江戸城辰の口の幕府評定所門前の腰掛の上に設置させた投書箱。享保の改革の一環。吉宗が和歌山藩主のとき,和歌山城門前に訴訟箱を設置したのが前例。防火のため瓦葺き屋根に関する意見を出した牢人伊賀蜂郎次の上書,貧しい病人のための療養所設立を求めた町医者小川笙船(しょうせん)の上書などが採用された。不採用になったものとしては,山下幸内(こうない)の上書が有名。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「目安箱」の意味・わかりやすい解説

目安箱
めやすばこ

目安 (訴状) を入れる箱。江戸幕府8代将軍徳川吉宗が享保6 (1721) 年8月に江戸城竜ノ口評定所前に設置し,民意聴取のための一施設とした。訴状によって小石川に養生所が設置され,江戸市中防火方針が決定されたりした。諸藩でも設置したところがあり,投書者は庶民,浪人に限られた。

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旺文社日本史事典 三訂版 「目安箱」の解説

目安箱
めやすばこ

江戸中期,享保の改革で8代将軍徳川吉宗が設置した投書箱
1721年吉宗は政治改革の参考にするため広く各層の意見を聴取しようと,江戸城竜ノ口評定所前に投書箱を設置した。これにより小石川養生所の設置,江戸市中町火消の制などが定められ,以後歴代将軍もこれをうけついだ。

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