箱根神社(読み)ハコネジンジャ

デジタル大辞泉 「箱根神社」の意味・読み・例文・類語

はこね‐じんじゃ【箱根神社】

神奈川県足柄下郡箱根町にある神社祭神瓊瓊杵尊ににぎのみこと木花開耶姫命このはなのさくやひめのみこと彦火火出見尊ひこほほでみのみこと源頼朝ら武士の信仰が厚かった。箱根権現縁起絵巻(重要文化財)など、多数文化財所蔵。箱根権現。

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精選版 日本国語大辞典 「箱根神社」の意味・読み・例文・類語

はこね‐じんじゃ【箱根神社】

  1. 神奈川県足柄下郡箱根町元箱根にある神社。旧国幣小社。祭神は瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)、木花咲哉姫命、彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)。上代の山岳信仰霊場で、天平宝字元年(七五七)万巻(満願)の創建と伝えられる。鎌倉時代から走湯山権現(伊豆山神社)とともに二所と並び称された。箱根権現。箱根三所権現。箱根寺。

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日本歴史地名大系 「箱根神社」の解説

箱根神社
はこねじんじや

[現在地名]箱根町元箱根

芦ノ湖頭東北端にある。もとは箱根三所権現と称した。祭神は瓊瓊杵尊・木花咲耶姫・彦火火出見尊の三座。創立年代は不詳、旧国幣小社。

建久二年(一一九一)の「筥根山縁起序」によれば、箱根山は古代から山岳信仰の聖域で、聖占仙人によってこまヶ岳に神仙宮が開かれて以来人々の信仰を集めてきたといい、箱根山に本格的な堂宇が建立されたのは山岳修行僧万巻(満願)が来山してからであり、万巻は天平宝字元年(七五七)霊夢の告げによって三所権現を勧請したと伝える。権現の建立地は現在地とほとんど変わらず、前面の芦ノ湖は古くから権現の御手洗池とされ、山岳僧たちが岸辺で水垢離をとり、業障懺悔の修行をする場所であった。また縁起によれば、延暦二〇年(八〇一)に征夷大将軍坂上田村麻呂が参詣し表矢を献じ、弘仁八年(八一七)に嵯峨天皇の勅によって駿河・伊豆・相模の三国を社領として寄進、また鳥羽上皇酒匂さかわ(現小田原市)を寄付したと伝える。関東に下向した歌人相模も権現の社前に「箱根百首」を捧げている(相模集)

「吾妻鏡」によれば、治承四年(一一八〇)八月二三日、石橋山合戦で敗れ土肥どい山中に逃れた源頼朝を権現別当行実・弟永実が助けている。同年一〇月一六日条には頼朝が早川はやかわ庄を寄進したとある。この寄進状が当時のものでないにしても、この頃に寄進されたと認められ、さらに建仁二年(一二〇二)五月三〇日には頼家も同庄を中分して寄進している。

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改訂新版 世界大百科事典 「箱根神社」の意味・わかりやすい解説

箱根神社 (はこねじんじゃ)

神奈川県足柄下郡箱根町に鎮座。瓊瓊杵(ににぎ)尊,木花咲哉姫(このはなのさくやびめ)尊,彦火火出見(ひこほほでみ)尊を箱根大神と称しまつっている。社伝によると,古く駒ヶ岳を神体山として奉祀孝謙天皇のときに,万巻上人が現社地に里宮を創建,箱根三所権現とあがめたという。またこのとき別当寺の金剛王院東福寺が建立されたと伝える。919年(延喜19)僧澄仁が入山し,仏像と経巻を寄せ,天暦年間(947-957)僧平信が勅旨をもって座主職に任ぜられたという。鎌倉幕府歴代将軍の篤い崇敬をうけ,伊豆山神社と当社への二所詣がさかんであった。明治に至り神仏混淆を廃した。旧国幣小社。例祭8月1日で,その前日の夕刻,特殊神事湖水祭が行われる。この祭りは万巻上人が,九頭竜の悪業を鎮めた故事によるといわれ,竜神祭または御供納祭ともいう。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「箱根神社」の意味・わかりやすい解説

箱根神社
はこねじんじゃ

神奈川県足柄下(あしがらしも)郡箱根町元箱根に鎮座。旧国幣小社。旧称箱根権現(ごんげん)。箱根大神(瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)・木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)・彦火火出見(ひこほほでみ)尊の三神)を祀(まつ)る。「筥根(はこね)山縁起并(えんぎならびに)序」によれば、孝昭(こうしょう)天皇のとき、聖占(しょうせん)仙人が駒(こま)ヶ岳に神仙宮を創建したのに始まり、利行(りぎょう)丈人は堂一宇を建立、武内宿禰(たけのうちのすくね)は高麗大神(こまおおかみ)を勧請(かんじょう)などと伝える。初め般若寺(はんにゃじ)と称したが、玄利(げんり)老人のとき東福寺と改称。757年(天平宝字1)万巻上人(まんがんしょうにん)は神殿を造営し、駒形(こまがた)・能善(のうぜん)の二神を勧請。鎌倉期以降、武家の守護神として栄えた。鎌倉将軍家は当社と走湯山(そうとうざん)権現(伊豆山神社)の参詣(さんけい)を二所詣(にしょもうで)と称して恒例の行事とした。北条氏も厚い庇護(ひご)を寄せ、江戸幕府も社殿の修造を行うことを例とした。1868年(明治1)の神仏分離により箱根神社と改称。『箱根権現縁起絵巻』(鎌倉期の作)、万巻上人坐像(ざぞう)などを所蔵。例祭は8月1日。

[三橋 健]

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百科事典マイペディア 「箱根神社」の意味・わかりやすい解説

箱根神社【はこねじんじゃ】

神奈川県箱根町に鎮座。旧国幣小社。箱根大神をまつる。孝謙天皇のときの創祀と伝える。箱根権現といわれ,鎌倉幕府歴代の将軍や幕府要人の篤い崇敬を受け,また中世修験(しゅげん)道の霊場として栄えた。例祭は8月1日。湖水祭は7月31日夜行われ,数百の灯籠(とうろう)を流し,竜神に赤飯をささげる。社地は芦ノ湖に臨む。→走湯山
→関連項目箱根[町]箱根関早川荘

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デジタル大辞泉プラス 「箱根神社」の解説

箱根神社

神奈川県足柄下郡箱根町にある神社。祭神は箱根大神(瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)、木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)、彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと))。交通安全、開運で信仰を集める。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「箱根神社」の意味・わかりやすい解説

箱根神社
はこねじんじゃ

神奈川県足柄下郡箱根町元箱根に鎮座する元国幣小社。箱根権現,大筥根ともいう。祭神はニニギノミコト,コノハナサクヤヒメノミコト,ヒコホホデミノミコト。例祭8月1日。

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世界大百科事典(旧版)内の箱根神社の言及

【箱根[町]】より

…古代の箱根山は山岳信仰の聖地で,757年(天平宝字1)には箱根三所権現がまつられたと伝えられる。中世には鎌倉幕府の庇護のもとに栄え,江戸時代に入ると箱根関が置かれ,中心集落の箱根は宿場町として,元箱根は箱根神社の門前町として,湯本は湯治場として発展した。1888年に小田原馬車鉄道が開通し,ついで1900年には小田原電気鉄道(のちの箱根登山鉄道)の路面電車に発展するに及び,近代的な観光保養地として発展を遂げた。…

※「箱根神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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