立憲民主党(日本)(読み)りっけんみんしゅとう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「立憲民主党(日本)」の意味・わかりやすい解説

立憲民主党(日本)
りっけんみんしゅとう

日本の政党。2017年(平成29)の衆議院選挙を前に分裂した旧民進党大半議員が2020年(令和2)に再結集した政党である。2020年12月時点で所属国会議員は151人(衆議院108人、参議院43人)と野党第一党である。総務省届出の正式略称は「民主党」。立憲主義と草の根民主主義を結党の理念とし、外交・安全保障政策では憲法第9条改正に反対し、国際協調と専守防衛を掲げる。ジェンダー平等など多様性を尊重し、原発ゼロ社会の実現、自然環境との調和などを掲げる中道政党である。災害や感染症などの危機時に機能する政府の実現をめざし、消費税減税を訴えている。本部は東京都千代田区平河(ひらかわ)町と同区永田町の2か所。代表は枝野幸男(えだのゆきお)(1964― )が務め、おもな所属議員は元首相の菅直人(かんなおと)や野田佳彦(のだよしひこ)、元外相の岡田克也(おかだかつや)(1953― )、元民主党代表の小沢一郎、元衆院副議長の赤松広隆(あかまつひろたか)(1948― )、元民進党代表の蓮舫(れんほう)(1967― )ら旧社会党や市民運動出身者から保守系議員まで幅広い。国政選挙では共産党などと野党共闘をくみ、日本労働組合総連合会(連合)は立憲民主党を連合総体として支援する方針である。

 2017年の衆院選を控え、東京都知事の小池百合子(1952― )が改革保守主義を掲げる希望の党を立ち上げ旧民進党との合流をめざしたが、これに反発する勢力もあり、旧民進党は護憲・リベラル勢力、改革保守グループ(旧国民民主党)、無所属グループなどに分裂した。このとき合流に反対した枝野ら護憲・リベラル系議員を中心に結党した旧立憲民主党が前身である。その後、旧立憲民主党は旧国民民主党との合流協議を進めたが、路線や政策で折り合わずに難航。結局、2020年(令和2)に事実上分裂した旧国民民主党の大半の議員や、旧民進党の流れをくむ無所属議員らを吸収し、新立憲民主党として再結党した。法令上も、旧立憲民主党とは別の新規設立政党である。なお旧国民民主党代表の玉木雄一郎(1969― )らは新立憲民主党の結党には参加せず、新たな国民民主党を結党したが、所属議員は十数人の少数野党にとどまった。

[矢野 武 2021年3月22日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

知恵蔵 「立憲民主党(日本)」の解説

立憲民主党(日本)

民進党の分裂によって、2017年10月に誕生した新党。枝野幸男(代表)が、民進党から離脱したリベラル派の議員を率い、第48回衆議院議員総選挙を前に立ち上げた。結党の理念は「自由」「共生」「未来への責任」。既得権や癒着の構造と闘う改革政党であることをうたい、「自由と民主主義に立脚した立憲主義を守る」「共生社会をつくる」「未来への責任-改革を先送りしない」「人への投資で持続可能な経済成長を実現する」「国を守り国際社会の平和と繁栄に貢献する」ことを目指す。立党時の執行委員は、代表の枝野幸男、代表代行の長妻昭、副代表の近藤昭一・佐々木隆博、幹事長の福山哲郎、国会対策委員長の辻元清美。
選挙戦では、立憲主義による「まっとうな政治。」をキャッチフレーズに、原発ゼロ、消費税率の維持、集団的自衛権の行使を認める安保法制反対などを訴え、森友・加計学園問題などでも揺れる安倍政権への批判票の最大の受け皿となった。結党会見からわずか20日間ながら、55議席を獲得(公示前は15議席)。希望の党(50議席)、共産党(12)、日本維新の会(11)を上回って、野党第1党に躍進した。
なお、小池百合子(東京都知事)が代表を務めていた希望の党は、民進党から多数の議員が合流し、公示前には一大旋風を起こしたが、安倍政権との明確な対立軸を打ち出せず、自民党の補完勢力という批判を浴びて失速した。立憲民主党から出馬した前職候補者の大半は、小池代表が求めた憲法改正・安保法制容認の「政策協定」に従わず、希望の党から入党を拒否された元・民進党の議員だった。

(大迫秀樹 フリー編集者/2017年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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