( 1 )平安・鎌倉両時代には主として古記録などに用いられた和製漢語であるが、奈良時代の文献にすでに見える漢語出自の「老少」の方が多用されている。
( 2 )その形成には、日本語の「若」字に本来の漢語にはない、わかいの意が生じていたことが背景として考えられる。
《日葡辞書》に〈老人と若者と〉とある。〈老若男女〉〈貴賤老若〉というように,本来はすべての人を意味する語句であるが,江戸時代の共同体社会では,おとな(老人)と若衆とを指し,二つの年齢集団を意味する用語である。若衆は15歳前後から老人になる以前の若者集団,老人は老人成(官途成)の儀礼を通過したものをいう。老人と若衆とは共同体社会での発言権に格差がつけられている場合がある。若衆から老人成を経る場合,名まえを変更する場合が多く,老人は〈兵衛〉〈衛門〉〈太夫〉などの官途名で呼ばれる。老若とも加入順による﨟次(ろうじ)が絶対で,寄合の着座も﨟次によって決定され,﨟次が老若の生活する共同体社会の秩序を形成しているともいえる。老若の制度的確立は,鎌倉時代末期から成立してくる惣村制(惣)の展開と揆を一にする。
執筆者:仲村 研
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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