装い(読み)ヨソイ

デジタル大辞泉 「装い」の意味・読み・例文・類語

よそい〔よそひ〕【装い/粧い】

[名](スル)
身なりを整えたり、身を飾ったりすること。また、その装束や装飾
農家婦人の―したる媼ありて」〈鴎外訳・即興詩人
「何ばかりの御―なく、うちやつして」〈・花散里〉
(装)富士谷成章ふじたになりあきらの文法用語。今日の用言にあたる。
準備すること。用意。したく。
「水鳥の立たむ―にいものらに物言はず来にて思ひかねつも」〈・三五二八〉
[接尾]助数詞
衣服調度など、そろっているものを数えるのに用いる。そろい。
「夏冬の御装束二―づつ」〈宇津保・蔵開上〉
器に盛った飲食物を数えるのに用いる。
古歌にも奈良茶かや此手盛りにて二―」〈浄・大織冠

よそおい〔よそほひ〕【装い/粧い】

身なりや外観を整えること。美しく飾ること。また、その姿。よそい。「華やかな―の女性」「春らしい―で出掛ける」「―も新たに開店する」
目にしたようす。おもむき。風情ふぜい。「野山が秋の―を見せる」
準備すること。
「河を渡らんとしける―の紛れに」〈保元・下〉
[類語]服装身なりコスチューム服飾身だしなみ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「装い」の意味・読み・例文・類語

よそいよそひ【装・粧】

  1. ( 動詞「よそう(装)」の連用形の名詞化 )
  2. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 衣服。装束。特に、整った服装。
      1. [初出の実例]「赤玉は 緒さへ光れど 白玉の 君が余曾比(ヨソヒ)し 貴くありけり」(出典古事記(712)上・歌謡)
      2. 「右大将の、さばかり重りかに由めくも、今日のよそひいとなまめきて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)行幸)
    2. 飾り。装飾。
      1. [初出の実例]「時に密(しのひ)に舎人を遣して、装餝(ヨソヒ)視察(み)しむ」(出典:日本書紀(720)雄略一四年四月(前田本訓))
    3. 準備すること。したく。
      1. [初出の実例]「水鳥の立たむ与曾比(ヨソヒ)に妹のらに物いはず来にて思ひかねつも」(出典:万葉集(8C後)一四・三五二八)
    4. そのものが機能を果たすための付属品。装備。また、それをととのえること。
      1. [初出の実例]「心みに、舟のよそひを設けて、まち侍りしに」(出典:源氏物語(1001‐14頃)明石)
    5. 富士谷成章(ふじたになりあきら)の文法用語で、動詞・形容詞形容動詞などにあたる。
      1. [初出の実例]「名をもて物をことわり、装をもて事をさだめ、挿頭脚結をもてことばをたすく」(出典:あゆひ抄(1773)おほむね上)
  3. [ 2 ] 〘 接尾語 〙
    1. 衣服・調度など、揃ったものを数えるのに用いる。そろい。
      1. [初出の実例]「蓁揩(はりすり)の御衣三具(ヨソヒ)、錦袴二具」(出典:日本書紀(720)天武朱鳥元年正月(北野本訓))
    2. 器に盛った飲食物を数えるのに用いる。
      1. [初出の実例]「古歌にも奈良茶かや此の手盛りにて二よそい」(出典:浄瑠璃・大職冠(1711頃)四)

よそおいよそほひ【装・粧】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「よそおう(装)」の連用形の名詞化 )
  2. 身につける服装、用具などを飾りととのえること。身づくろいすること。威儀をととのえること。また、そのようにした姿・様子。
    1. [初出の実例]「この御足跡(みあと)を廻りまつれば足跡主(あとぬし)の玉の与曾保比(ヨソホヒ)思ほゆるかも見る如もあるか」(出典:仏足石歌(753頃))
    2. 「天人のよそほひしたる女」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  3. 飾りつけること。装飾を施すこと。また、その飾り・装飾や、その様子。
    1. [初出の実例]「慈氏菩薩の像有り、金色の装(ヨソホヒ)厳しくして」(出典:大慈恩寺三蔵法師伝永久四年点(1116)二)
  4. 格式のあるいでたち。また、付加されたいかめしい格式。
    1. [初出の実例]「さすがになにとなく所せき身のよそほひにて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
  5. 人や物事の姿・様子。
    1. (イ) 総合的・全体的にみた、人の姿。有様風姿
      1. [初出の実例]「時に此の神の容貌(かほかたち)、正に天稚彦平生(いけりしとき)の儀(ヨソホヒ)に類(に)たり」(出典:日本書紀(720)神代下(兼方本訓))
    2. (ロ) 物事のおごそかな様子。また、大げさな有様。
      1. [初出の実例]「吉野なる大川水のよそほひは代々にも更に絶じとぞ思ふ〈隆源〉」(出典:類従本堀河百首(1105‐06頃)雑)
    3. (ハ) 外側の様子。外観。外見。おもむき。
      1. [初出の実例]「梨花一枝、雨を帯びたるよそほひの」(出典:歌謡・閑吟集(1518))
  6. 準備すること。したくすること。
    1. [初出の実例]「旅のよそほいこまごまと沙汰しをくられたり」(出典:平家物語(13C前)二)

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