(読み)トウ

デジタル大辞泉 「踏」の意味・読み・例文・類語

とう【踏】[漢字項目]

常用漢字] [音]トウ(タフ)(漢) [訓]ふむ ふまえる
地面をふみつける。「踏査踏破高踏人跡未踏
(「とう」と通用)とんとんと足ぶみする。「舞踏
(「とう」の代用字)重なり合う。「雑踏
難読雪踏せった踏鞴たたら

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「踏」の意味・読み・例文・類語

ふみ【踏】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「ふむ(踏)」の連用形名詞化 )
  2. 値段や値打を見積もること。値ぶみ。鑑定。
    1. [初出の実例]「『ほんにあなたは吉六の様でござりますナア』『是は御挨拶、吉六と二幅対とは、ちとおふみが違いますね』」(出典:歌舞伎・小袖曾我薊色縫(十六夜清心)(1859)五立返し)
  3. 取引市場で、売値よりも高騰したりした時、受け渡しの期限に先だって、買い戻しをして損失を少なくすること。
    1. [初出の実例]「ふみ」(出典:大坂繁花風土記(1814)米方通信)
  4. 地面などを踏むこと。また、その踏んだ感触、ぐあいなど。
    1. [初出の実例]「踏みの悪い砂堤に足を落し落し」(出典:不在地主(1929)〈小林多喜二〉三)

ふまえふまへ【踏】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「ふまえる(踏)」の連用形の名詞化 )
  2. その上に積み上げることのできるもの。土台。基礎。根拠。
    1. [初出の実例]「底のふまへは、太平の御代なれば、四海浪打をさめて」(出典:中華若木詩抄(1520頃)中)
  3. 思案。思慮。
    1. [初出の実例]「嫉妬のうらみに取みだれ後先のふまへもなく、当座の腹立やるかたなく」(出典:浄瑠璃・出世景清(1685)四)
  4. 踏み台
    1. [初出の実例]「つねには天河のあまの河え槎にのっていて織女のはたをるふまえにする石をとってきたとあり」(出典:玉塵抄(1563)二九)

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普及版 字通 「踏」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 15画

(異体字)
17画

[字音] トウ(タフ)
[字訓] ふむ・おさえる

[説文解字]

[字形] 形声
声符は沓(とう)。〔説文〕二下に字をに作り、(とう)声。「踐(ふ)むなり」と訓する。沓は祝の器である曰(えつ)の上に水をそそぎ、その祝をけがし無効とする意。また(習)の倒文で、は曰を羽でしきりに(す)って、その呪能を刺激する意。それを倒覆するのは、やはり沓と同じ呪的な行為である。ゆえに踏・は声義の同じ字である。踏むことに本来呪的な意味があって、踏歌・踏青などの民俗が生まれた。

[訓義]
1. ふむ、ふみおさえる、ふみつける。
2. ふみすすむ、あるく、ゆく。
3. ふみだい。
4. はきもの。
5. たしかめる。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕踏 不弥奈豆佐不(ふみなづさふ) 〔名義抄〕踏 フム・フミニジル・コユ 〔字鏡集〕踏 ウゴク・タタム・フム

[語系]
踏・thap、dyap、躡niapはみな声近く、足しげくふむことをいう。(よう)・聶(しよう)はひらひらと数しげく動く意がある。

[熟語]
踏雨・踏歌踏槐・踏看踏勘踏鞠・踏・踏月・踏肩・踏行・踏紅・踏査踏索・踏実・踏車踏襲・踏春・踏床踏翠・踏水・踏青・踏・踏雪・踏節踏践・踏踏碓踏逐・踏潮・踏・踏・踏踏灯踏踏踏鐙踏頓・踏破・踏白踏臂・踏伏・踏壁・踏歩・踏芳・踏謡・踏犁
[下接語]
脚踏・屐踏・高踏・雑踏・蹴踏・践踏・踏・重踏・登踏・騰踏・馬踏・舞踏・乱踏・履踏

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【踊り】より

…舞が囃子手など他者の力で舞わされる旋回運動を基本とするのに対して,踊りはみずからの心の躍動やみずからが奏する楽器のリズムを原動力に跳躍的な動きを基本とする。〈躍〉〈踏〉〈をどり〉などの字も用いる。舞が選ばれた者や特別な資格を持つ者が少人数で舞うのに対し,踊りはだれでもが参加できるため群をなす場合が多く,場も特殊な舞台を必要としない。…

※「踏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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