公家(くげ)が用いた屏障具(へいしょうぐ)の一種。「ぜんじょう」ともいい、軟らかい障子の意。柱の間、御簾(みす)の内側に掛け、間仕切りとして使われた装飾的な幕。平絹で仕立てる。壁代(かべしろ)と違い、絵を描き、周囲に紫綾(あや)の幅の広い縁をつけ、上部に乳(ち)を綴(と)じ付けて、それに紐(ひも)を通してつり下げる。『雅亮装束抄(まさすけそうぞくしょう)』大饗(たいきょう)の条によると、絵は高松を本体にして、四季の樹木を描いたとあり、これを「高松の軟障」とよんだ。また同抄に、東三条殿で使われた衝立(ついたて)障子に、嵯峨野(さがの)に狩りせし少将のさまを描いた軟障の絵が描かれているとあって、これらにより軟障の絵のありさまを知ることができる。『年中行事絵巻』内宴の場面、綾綺(りょうき)殿西庇(にしびさし)内側に唐絵(からえ)の山水人物を描いた軟障が掛けられ、また、大饗の場面、玄輝門西廊に同様の唐絵が描かれたものをみることができる。
[高田倭男]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…奈良時代から平安時代にかけて宮殿や貴族の邸宅で用いられた。屛風などと異なって骨がなく,袷(あわせ)の絹綾製であるため軟障といった。形は幔幕に似ており,6,7条の帛(はく)を縦に縫いつなげ,四周に幅広の縁をまわし,上に乳(ち)を付けてここに綱を通して張る。…
※「軟障」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加