軟障(読み)ぜじょう

日本大百科全書(ニッポニカ)「軟障」の解説

軟障
ぜじょう

公家(げ)が用いた屏障具(へいしょうぐ)の一種。「ぜんじょう」ともいい、らかい障子の意。柱の間、御簾(みす)の内側に掛け、間仕切りとして使われた装飾的な幕。平絹で仕立てる。壁代(かべしろ)と違い、絵を描き、周囲に紫綾(あや)の幅の広いをつけ、上部に乳(ち)を綴(と)じ付けて、それに紐(ひも)を通してつり下げる。『雅亮装束抄(まさすけそうぞくしょう)』大饗(たいきょう)の条によると、絵は高松を本体にして、四季樹木を描いたとあり、これを「高松の軟障」とよんだ。また同抄に、東三条殿で使われた衝立(ついたて)障子に、嵯峨野(さがの)に狩りせし少将のさまを描いた軟障の絵が描かれているとあって、これらにより軟障の絵のありさまを知ることができる。『年中行事絵巻』内の場面、綾綺(りょうき)殿西庇(にしびさし)内側に唐絵(からえ)の山水人物を描いた軟障が掛けられ、また、大饗の場面、玄輝門西廊に同様の唐絵が描かれたものをみることができる。

[高田倭男]


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精選版 日本国語大辞典「軟障」の解説

ぜ‐じょう ‥ジャウ【軟障】

〘名〙 宮中の行事の際の装飾を兼ねた障屏用の垂れ絹。壁代(かべしろ)の一種。ふつう、絹地の面に唐絵や大和絵を描き、周囲に縁をめぐらし乳縄(ちなわ)で取りつける。その絵様から高松の軟障などがある。ぜぞう。ぜんしょう。
源氏(1001‐14頃)須磨「いとおろそかに、せしゃう許を引きめぐらして」

ぜん‐しょう ‥シャウ【軟障】

〘名〙 (「ぜんじょう」とも) =ぜじょう(軟障)
※源氏(1001‐14頃)藤裏葉「道のほどのそり橋・渡殿には、を敷き、あらはなるべき所には、せんしゃうをひき」

ぜ‐ぞう ‥ザウ【軟障】

蜻蛉(974頃)中「ひきたるぜざうなどもはなち、たてたるものどん、みしみしととりはらふに」

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家とインテリアの用語がわかる辞典「軟障」の解説

ぜじょう【軟障】

奈良時代から平安時代にかけて、宮殿貴族邸宅で宴(うたげ)や伎楽(がく)の際に室内に張り巡らした装飾的な幕。平絹で仕立て、四周に幅広の縁をまわし、上にを通して張る。表には唐絵(からえ)や大和絵を描くのが一般的であった。◇「ぜんじょう」ともいう。

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デジタル大辞泉「軟障」の解説

ぜ‐じょう〔‐ジヤウ〕【軟障】

《「ぜんじょう」の撥音の無表記》宮中の行事の際の装飾を兼ねた障屏用の幕。柱の間、御簾みすの内側にかけた。ふつう、絹地の表面に唐絵大和絵を描き、周囲に紫のあやの縁を巡らし、に綱を通して取り付ける。ぜぞう。

ぜん‐じょう〔‐ジヤウ〕【軟障】

ぜじょう(軟障)」に同じ。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「軟障」の解説

軟障
ぜじょう

「ぜんじょう」とも読む。平安時代,行事などの際,部屋,廊下 (ひさし) などに張りめぐらした絹布で,壁の代用とした。唐絵などを描いた白絹に紫綾の縁取りをつけ,紐で吊って用いた。

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世界大百科事典 第2版「軟障」の解説

ぜじょう【軟障】

〈ぜんじょう〉ともいい,(ちよう)の一種。奈良時代から平安時代にかけて宮殿や貴族の邸宅で用いられた。屛風などと異なって骨がなく,袷(あわせ)の絹綾製であるため軟障といった。形は幔幕に似ており,6,7条の帛(はく)をに縫いつなげ,四周に幅広の縁をまわし,上に乳(ち)を付けてここに綱を通して張る。表には,高松を中心に四季の樹木を配した唐絵を描くのが普通で,これを〈高松の軟障〉といったが,嵯峨野の鷹狩を描くやまと絵もあった。

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世界大百科事典内の軟障の言及

【軟障】より

…奈良時代から平安時代にかけて宮殿や貴族の邸宅で用いられた。屛風などと異なって骨がなく,袷(あわせ)の絹綾製であるため軟障といった。形は幔幕に似ており,6,7条の帛(はく)を縦に縫いつなげ,四周に幅広の縁をまわし,上に乳(ち)を付けてここに綱を通して張る。…

※「軟障」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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