デジタル大辞泉
「違える」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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ちが・えるちがへる【違・交】
- 〘 他動詞 ア行下一(ハ下一) 〙
[ 文語形 ]ちが・ふ 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙 ( 四段動詞「ちがう(違)」の他動詞形 ) - [ 一 ] 動かして一致させないようにする。
- ① 互いに行きあわないようにする。はずす。
- [初出の実例]「ねぬる夜のかべさわがしく見えしかどわがちがふればことなかりけり〈よみ人しらず〉」(出典:二度本金葉(1124‐25)雑上)
- ② 交わるようにする。交錯させる。
- [初出の実例]「かささぎのちかふる橋の間遠にてへだつるなかに霜やふるらん」(出典:曾丹集(11C初か))
- 「目をいからかし、牙(き)をちがへたるもの多し」(出典:法華修法一百座聞書抄(1110)六月二六日)
- ③ 骨や筋などうまく合っていたものをねじるなどしてくいちがわせる。
- [初出の実例]「酔者が車より墜は手足をつきをり腰をちかへて」(出典:古活字本荘子抄(1620頃)六)
- [ 二 ] 抽象的な事柄について、一致させないようにする。
- ① 予期されることを的中させないようにする。夢などを外れさせる。
- [初出の実例]「憂きことよいかで聞かじと祓へつつちかへながすの浜ぞいざかし」(出典:平中物語(965頃)三五)
- 「ちがへむとゆめおもふなよ人しれぬこころはかはしあはせますとも」(出典:能宣集(984‐991))
- ② 他と比較して、あるいは平常と比べて差があるようにさせる。相違させる。かえる。
- [初出の実例]「先能数を持ちて、敵人の能に変りたる風体を、ちがへてすべし」(出典:風姿花伝(1400‐02頃)三)
- 「顔色をちがへて意見立てをしたものだ」(出典:茶話(1915‐30)〈薄田泣菫〉仏国小説と米国)
- ③ 約束などを破る。そむく。たがえる。
- [初出の実例]「橋下で待べしと云て、具をちかへじとて信をば本にすれども」(出典:史記抄(1477)一一)
- 「只今仰られたとをり、やくそくをちがへさせられな」(出典:虎明本狂言・眉目吉(室町末‐近世初))
- [ 三 ] 理解、判断または行動を誤る。まちがえる。
- [初出の実例]「其客の吉凶まで、兔の毛の先ほどもちがへず申べし」(出典:浮世草子・好色万金丹(1694)一)
違えるの補助注記
室町時代頃からヤ行にも活用した。→ちがゆ(違)
たが・えるたがへる【違】
- 〘 他動詞 ア行下一(ハ下一) 〙
[ 文語形 ]たが・ふ 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙 たがうようにする。たがわせる。 - ① 二つ以上の物がかみ合わないようにする。会わないようにやりすごす。よける。避ける。
- [初出の実例]「大屋毘古神の御所(みもと)に違へ遣りき」(出典:古事記(712)上)
- 「あるかぎり、東の陣に、かく出でゆくを見んとて、つどひあつまりたる程に、たがへて、西の陣より〈略〉出でぬれば、人々も見ずなりぬ」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)一〇)
- ② くいちがわせる。はずす。ちがえる。
- [初出の実例]「機を差(タカフル)過有ること无し」(出典:蘇悉地羯羅経略疏天暦五年点(951)五)
- 「其矢思ふ矢坪を不レ違(タカヘ)〈略〉眉間の真甲に当て」(出典:太平記(14C後)九)
- ③ そむいて裏切る。約束や言いつけを破る。反故にする。
- [初出の実例]「これならぬことをもおほくたがふればうらみむ方もなきぞわびしき」(出典:大和物語(947‐957頃)八九)
- ④ 正常でない状態にする。まちがえる。
- [初出の実例]「所たがへてけり。いふかひなきことを」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
- 「御気色をばたがへまゐらせ候まじきに候」(出典:愚管抄(1220)五)
- ⑤ 方違(かたたが)えをする。
- [初出の実例]「忌もたかへがてら、しばしほかにと思ひて」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
違えるの補助注記
中世頃からはヤ行にも活用した。→たがゆ(違)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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