デジタル大辞泉 「見参」の意味・読み・例文・類語
げん‐ざん【▽見参】
1 参上して目上の人に対面すること。げざん。げんぞう。
「婿が
2 目上の人が目下の者に会ってやること。げざん。げんぞう。
「
3
「陣に付きて宣命、―を見給ひける間」〈著聞集・三〉
[類語]謁見・お目見え・目通り・拝謁・内謁・朝見・会う・対面する・面会する・会見する・会する・落ち合う・引見する・接見する・面接する・面談する・会談する・見合い・顔合わせ・お目にかかる・まみえる・拝顔する・拝眉する・
( 1 )①の意では史書や記録類を中心に古くから例が見える。
( 2 )鎌倉期以降は身分差がさほどない相手を訪れて面会する場合にも「見参」が用いられるようになり、貴人に会う際には特に「見参に入る」(「入る」は四段活用)の形が取られることが多くなった。
( 3 )「見参」を「参会」や「対面」の意で用いるのは日本独自の用法で、中国の文献には見られない。
( 4 )中古、中世には撥音「ん」の無表記形「げざん」が多く見られるが、「見参」と漢字表記の例は便宜上「げんざん」の項目に収めた。
〈けざん〉〈げざん〉〈けんざん〉とも読む。平安時代より見られる用語で,目下の者が目上の者のもとへ参上して対面すること。また逆に目上の者が目下の者を出頭させ対面すること,すなわち引見,謁見。また官人が節会や宴会に出席することもいう。〈見参に入る〉とは,高貴の人に面会する,または高貴の人に見せる意となる。はじめ侍が主従関係を結ぶ場合,名簿(みようぶ)を捧呈する慣習であったが,武士の間にあってはその式は廃れ,源頼朝の場合も,戦陣の間のこととて,おおむね御家人として,単に初参(ういざん)の礼をとらせただけであった。もちろん御家人の見参は初度にとどまらず,適宜行われたものであろう。幕府の法令にも〈関東新制条々〉として〈御家人見参〉の事,〈評定の際を以て,其沙汰有るべし〉などの規定が見える。また〈鎌倉殿の見参に入る〉とは,主従関係を結んだ者が機会を得て正式に面謁する意であろう。
執筆者:五味 克夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
「けざん・げんざん」とも。(1)節会(せちえ)・大饗(だいきょう)などに参賀・伺候した官人の名簿(みょうぶ)を御前に提出すること。名簿を見参の文という。(2)本来は拝謁の意であったが,引見(いんけん)の場合にも使われた。(3)平安中期以降になると,主従関係を結ぶ際に名簿奉呈と対面(見参)が行われた。武家社会では平安末期には名簿奉呈はすたれ,見参が主従関係を結ぶ基本的儀式となった。「将門記」に平将門(まさかど)が藤原忠平に名簿を奉呈したことがみえる。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…また官人が節会や宴会に出席することもいう。〈見参に入る〉とは,高貴の人に面会する,または高貴の人に見せる意となる。はじめ侍が主従関係を結ぶ場合,名簿(みようぶ)を捧呈する慣習であったが,武士の間にあってはその式は廃れ,源頼朝の場合も,戦陣の間のこととて,おおむね御家人として,単に初参(ういざん)の礼をとらせただけであった。…
…主従関係を結ぶため,または儀礼上の挨拶のため,下位の者が上位の者に謁見すること。古くは,平安時代に地方の豪族が中央の権門勢家に名簿(みようぶ)を奉呈して主従関係を結ぶ慣習があり,武士の間にも行われたが,これに代わって平安末期より武家社会で見参(げんざん)すなわち主従関係を結ぶために従者になろうとする者が主君に謁見する儀式が行われた。江戸時代にはこれに代わって御目見の称呼が用いられた。…
※「見参」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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