(読み)カク

デジタル大辞泉 「郭」の意味・読み・例文・類語

かく【郭】[漢字項目]

常用漢字] [音]カク(クヮク)(呉)(漢) [訓]くるわ
都市・城の外囲い。また、外囲いのある町や村。「城郭山郭
特定の一区画。くるわ。「遊郭
物の外枠。「外郭胸郭輪郭
(「かく」の代用字)がらんとして広い。広げる。「郭大
[名のり]ひろ
難読郭公かっこう郭公ほととぎす

くる‐わ【郭/×廓/曲輪】

城やとりでの、周囲を土や石などで築き巡らしてある囲い。また、その内側地域
《周囲を塀や堀で囲ったところから》遊女屋の集まっている地域。遊郭。遊里
俳諧で、発句題材に伴って出てくる連想範囲
「発句は題の―を飛び出でて作すべし」〈去来抄・修行〉

かく〔クワク〕【郭/×廓】

古代中国で、都市を囲んだ土壁
ものの外まわり。また、囲まれた場所
遊郭。遊里。いろまち。

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精選版 日本国語大辞典 「郭」の意味・読み・例文・類語

くる‐わ【郭・廓・曲輪】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 一定の地域をかぎり、その周囲と区別するために設けた囲い。城や砦の、まわりに築いた土や石の囲いなど。
    1. [初出の実例]「いのちをかるこめくるわにはせあがりにしひがしをみてあれば」(出典:ささこおちのさうし(16C後))
  3. 周囲を囲われ多くの遊女屋が集まっている一定の区域。遊里。遊郭。さと。傾城町。〔評判記色道大鏡(1678)〕
  4. 俳諧で、俳人共通の季題についての知識の限界、発句の題材の常識的な範囲をいう。
    1. [初出の実例]「同じ曲輪(くるわ)を案じ侍れば、ひしと其残りたる物にさがしあてべし」(出典:俳諧・青根が峯(1698)自得発明弁)

かくクヮク【郭・廓】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 都の外まわりを囲んだ土壁。転じて、ものの外まわり。また、囲まれた場所。くるわ。
    1. [初出の実例]「青山郭(クヮク)を繞(めぐり)て連なり」(出典:花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉三一)
    2. [その他の文献]〔孟子‐公孫丑〕
  3. 遊女屋の集まっている場所。遊郭。くるわ。
    1. [初出の実例]「郭(クク)をさりて、過にし傾城の名をよび出す時は」(出典:評判記・色道大鏡(1678)叙)

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普及版 字通 「郭」の読み・字形・画数・意味


16画

(異体字)郭
11画

[字音] カク(クヮク)・ヨウ
[字訓] くるわ・はかる

[説文解字]

[字形] 象形
城郭の上下(南北)に望楼のある形。郭の初文。郭はその形声字。〔説文〕五下に「度(はか)るなり」とし、「民の度居するなり」とするが、字の初形は城郭の象。卜文・金文に庸に用いることがあり、金文の「僕」は附庸の意とみられる。のちその字にはを用いる。〔説文〕土部十三下に「垣なり。土に從ひ、庸聲。古に作る」とみえる。

[訓義]
1. くるわ、城壁。郭と同じ。
2. はかる。
3. と通じ、かき、附

[古辞書の訓]
名義抄 オホキナリ 〔立〕 アキラカ・フセキ

[部首]
〔説文〕にを属し、「古(いにしへ)、は其の南方を闕く」と城闕の意とする。〔玉〕に垣・(城)・の古文・籀文の字形を、みなに従う形に作る。

[声系]
声の字は郭の偏の形で、〔説文〕に椁・郭・など六字を郭声とする。みな外郭・郭大の意をもつ字である。

[語系]
郭字条参照。



常用漢字 11画

[字音] カク(クヮク)
[字訓] くるわ・かこい

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 形声
字の初文はに従い、(かく)声。は城郭の象形で、その平面形。南北に望楼のある形。郭はその省略形に従い、城郭をいう。

[訓義]
1. 城壁でかこう、かこい、くるわ。外囲を施した一区画。
2. すべてものの外側、外縁をいう。銭のふち、刀剣のさや、外皮。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕郭 オホキナリ・タレ・タレミゾ 〔字鏡集〕郭 オホキナリ・ワタル・メグリ・クニ・ミゾ・タレ

[声系]
〔説文〕に・郭の声に従うものとして椁・など六字を収める。はまた廓に作り、その字を用いる。みな外郭あり、内部が廓空のものをいう。

[語系]
・郭・椁・槨kuakは同声。革kk、khuakも同系。外囲のあるものをいう。

[熟語]
郭圉・郭索・郭門・郭公
[下接語]
一郭・郭・外郭・胸郭・山郭・城郭・水郭・西郭・土郭・東郭・南郭・負郭・郛郭・坊郭・北郭・遊郭・輪郭

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【曲輪】より

…城を構成する区画で,陣地や屋敷地のために作り出された平場のこと。歴史的名辞や固有名詞としては曲輪の字を用いるが,最近の城郭研究では郭(くるわ∥かく)の字を用いることが多い。山城では背後を削り取り,その土を前面に盛って造成する。…

【城】より

…人類の発生以来争闘は絶えることなく,定住生活が始まるとともに外敵の侵入に対する防御が必要とされたが,集落が形成されると集落単位で柵や環濠を設けたことが知られる。日本でもすでに弥生時代の集落址にこうした例が多くみられ,これらがのちの城郭の先駆的形態と考えられる。しかし整備された城が特に必要とされるのは都市や国家の成立に伴ってであり,他の国家・種族の襲来に備えることはもちろん,領内の被支配者からの攻撃に備えて城を営むことも,世界各地で近世まで行われた。…

【都市】より

…その後は交易路に沿う都市的集落が生まれ,さらに政治権力の集中地や港に新しい都市が次々と発生していった。
[囲郭都市と無囲郭都市]
 上述の太古の都市はおおむね城壁で囲まれていた。もちろんそれは周辺の遊牧民の侵入を防ぐものであるとともに,都市の周辺の農耕民にとって象徴でもあった。…

【曲輪】より

…城を構成する区画で,陣地や屋敷地のために作り出された平場のこと。歴史的名辞や固有名詞としては曲輪の字を用いるが,最近の城郭研究では郭(くるわ∥かく)の字を用いることが多い。山城では背後を削り取り,その土を前面に盛って造成する。…

【城】より

…人類の発生以来争闘は絶えることなく,定住生活が始まるとともに外敵の侵入に対する防御が必要とされたが,集落が形成されると集落単位で柵や環濠を設けたことが知られる。日本でもすでに弥生時代の集落址にこうした例が多くみられ,これらがのちの城郭の先駆的形態と考えられる。しかし整備された城が特に必要とされるのは都市や国家の成立に伴ってであり,他の国家・種族の襲来に備えることはもちろん,領内の被支配者からの攻撃に備えて城を営むことも,世界各地で近世まで行われた。…

【遊郭(遊廓)】より

…政治権力が公娼を容認するときに,治安や風俗の対策のために集娼制をとることが多いのは,私娼の取締りや税金の徴収を便利にすることのほかに,政策的に,そこを一般市民社会とは異なる性格をもつ場所とするという意図があった。そこに遊郭を設置する意義があるわけで,単に同業者が集住しているのとは本質的に異なる。したがってその政策を効果的にするため,遊郭は都市の周辺部に設定し,周囲を溝や塀で囲み,出入口を1ヵ所にして外部との遮断を図った。…

※「郭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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